仕事

月1万円の手当が半額に…特別支援学級担任たちの悲鳴「仕事は1.5倍に増えているのに」“過酷な現場”から上がる怒りの声

残業しても仕事が終わらず、当たり前のように休日出勤

「定時は16時45分ですが、私の場合、職員室を出るのは20時から20時半ごろ、それがほぼ毎日です」と、Aさん。それでその日の仕事が終わるのかといえば、そうではない。 「終わらないので、家に仕事を持ち帰ってやります。それでも終わらないと、休日に出勤して仕事を片付けなければいけません。休日出勤は私だけでなく、同僚たちも普通にやっています」  通常学級の担任も忙しく、かなりの残業を強いられている。だからこそ、現在は残業代が支払われない代わりに払われている月額給与4%の「教職調整額」を段階的に10%まで引き上げる案が、国会で審議されているところだ。  過労死ライン超えの残業を強いられながら残業代も支払われない教員の、過酷と言っていい教員の働き方に、せめて教職調整額の引き上げで応えようと文科省も考えたのかもしれない。もちろん教職調整額を10%にしたところで、教員の働き方の現状に見合った給与にはならない。見合った給与にするには、残業時間に対して残業代が支払われなければならない。民間企業なら普通のことであり、実行されて当然のことである。それを文科省はやらないで、教職調整額を少し引き上げるだけで誤魔化そうとしているのだ。

仕事が減っているならまだしも…

 そんな過酷な条件のなかで働かされている教員のなかでも、さらに忙しく、たいへんな仕事をこなしているのが特別支援学級の担任である。にもかかわらず、これまで支払われていた調整額が半減されそうなのだ。 「とても理屈に合わない話です」と、Aさんは怒る。「仕事が減って楽になっているなら、調整額が減るのも理屈に合うのかもしれませんが、まるで逆のことが起きようとしています。私が受け持っているクラスも、去年より人数が1.5倍に増えています。私のクラスだけでなく、ほかの学校のクラスでも同じように在籍する子どもの数は増えています。それだけ特別支援学級の担任の仕事は、ますます忙しくなっているのが現実なのです」  ますます忙しくなっている特別支援学級担任の負担を軽くする方策はいっさい講じられることなく、調整額削減だけを文科省は打ち出してきたのだ。誰の目にも、「おかしな話」でしかない。  ところが、肝心の特別支援学級の担任をしている教員たちから不満の声が挙がっているという話は聞こえてこない。それについて、Aさんは次のように言う。 「中堅の教員になると『おかしい』とは思っています。しかし若い教員は、あまり気にしていないようにしか、私にはみえません」
次のページ
若い教員は気づかないようにされている?
1
2
3
1954年、鹿児島県生まれ。法政大学卒業。ジャーナリストの故・立花隆氏、田原総一朗氏のスタッフ、『週刊ポスト』記者を経てフリーランスに。流通、金融、自動車などの企業取材がメインだったが、最近は教育関連の記事を書くことが多い。日本経済が立ち直るためにも、教育改革が不可欠と考えている。著書に『教師をやめる』(学事出版)、『疑問だらけの幼保無償化』(扶桑社新書)、『学校の面白いを歩いてみた。』(エッセンシャル出版社)などがある。
記事一覧へ