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客単価1200円を超えたCoCo壱番屋の「高級化」に客離れが止まらず…“8か月連続前年割れ”の苦境に打開策はあるか

「大きな前年割れ」となったデリバリー

25年2月期の下期累計(24年9月~25年2月)は前年比で客数は-5.2%、客単価は+13.8%となっており、これらの傾向は今期に入っても変わらず、客数は3月-7.5%、4月-6%、客単価は3月+10.9%、4月+10.8%と客数減、客単価増となっている。 また、コロナ禍で好調だったデリバリーが-15.1%と大きな前年割れ。テイクアウトは-5.7%と、ある程度定着しており、前年割れとはいえ軽微だ。 こういった店内売上を補完していた各機能の変化も客数減の一因だろう。この客数の減少は今後も続きそうで、営業基盤の脆弱化が懸念されるから早めの改善策が必要ではなかろうか。 財務基盤は自己資本比率が68.8%と安定している。ROE(資本効率)は10.1%と東証が推奨する8%を超えており、自己資本を効率活用し利益を上げているようだ。 ココイチ業態の店舗数は1,420店舗(25年5月26日時点で国内1,204店、海外216店)で運営基盤は盤石だが、客数減少が続けば影響は少なくないだろう。

ココイチの強み「ブルームシステム」

危機的な状況を迎えつつあるココイチに、打開策はあるのか。 店舗の約9割がフランチャイズ(以下、FC)であり、他人資源を活用し、低コストで多店舗展開を図っている点は、ココイチの強みといえるだろう。 FC店は、本部自らは成功を再現できるパッケージづくりと運営支援に専念できるから、コストもリスクも抑えられる。特にココイチには、独立志向の人に最適な「ブルームシステム」がある。 この制度は将来、ココイチのオーナーになる事を前提に、店舗運営のノウハウを徹底的に教え、本部と加盟店が経営理念共同体として強固な関係を構築するものである。 だから、ほとんどがFCなのに経営理念がしっかり店に浸透し、各店がブレない経営を実践しているのだ。 加盟者は入社時に資金は不要で、独立時には債務保証制度の利用も可能。店舗運営で一番悩む資金面において本部が応援してくれるのは助かる。 さらに独立後には、売上から固定費・変動費などの経費を除いた利益は、全てオーナーの手取りとなるから、やりがいが持てる制度だ。 また、通常のFC制度は、費用を払って研修を受けるのが一般的だが、ココイチは正社員として入社し、安定した収入がある中で、店舗のオペレーション、人材マネジメントや経営ノウハウをしっかり学習してから独立するから、開業リスクと不安は少ない。
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本部とFC加盟店のWin-Win関係
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飲食店支援専門の中小企業診断士・行政書士。自らも調理師免許を有し、過去には飲食店を経営。現在は中村コンサルタント事務所代表として後継者問題など、事業承継対策にも力を入れている。X(旧ツイッター):@kaisyasindan
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