ママ友会で「夫に対する愚痴」を聞くのがつらかった。“夫に不満がない”女性が立ち上げた結婚相談所、特色は
「3組に1組が離婚している」と喧伝される一方で、婚活事業は盛り上がりを見せている。だが、東京都港区白金台を拠点に結婚相談所・aisaitoを主宰する武嶋愛さん(46歳)は、「結婚を推奨するだけで終わる婚活支援でいいのだろうか」と疑義を呈する。結婚の先に夫婦を待ち受ける課題をともに解決する“ファミリーコーチング”を展開する彼女の真意とは――。
――武嶋さんはいわゆるキャリアウーマンだったと伺っています。そこから“結婚”に着目した経緯を教えてください。
武嶋愛:私は中央大学法学部を卒業し、ベンチャー企業に2年間勤めました。当時は夢中で働いて、そんなふうに思わなかったのですが、そこはいわゆるブラック企業。新人のときは年間の休みが2日しかなくて、日に18時間働くこともざらにありました。当然、身体を壊して退職に至り、新規事業の立ち上げを行うベンチャー企業などに転職したのち、ホットヨガスタジオLAVAを立ち上げました。
ずっと仕事が生きがいだったのですが、35歳のときに祖母に呼び出されて、「あなた、このままずっと仕事ばかりしていたら、女性としての幸せを掴み損ねるわよ。自分のことを考えないと」と言われて(笑)。思い返せば昔、私は子どもを持つのが夢だったなと思って。それで家族を持ちたいと思い、38歳で結婚しました。
ただ、周囲を見渡すと、特にコロナ禍で在宅勤務などが増加して夫婦が顔を合わせることによって、かえって夫婦仲が悪くなったケースが散見されたんです。私は特に夫に不満がなかったので、その状況をみて、「せっかく結婚して家庭を築いた人たちが愚痴を言う状況を変えたい」と思ったんです。
――「特に夫に不満がない」と言える武嶋さんもすごいですね。
武嶋愛:それはおそらく、お互いに不満を溜め込まないノウハウが確立されていたからかもしれません。より正確に言えば、これまでのビジネスにおけるコミュニケーションを応用することによって、相手が考えていることに思いを巡らせたり、自分の思いをきちんと伝える方法を心得ていたことが大きいと思います。逆に言えば、パートナーに対する不満がある人は、そうしたコミュニケーションがうまく機能していなかったことになるので、そこを改善するだけで随分変わると思ったんです。
――早速、それを事業化したわけですか。
武嶋愛:最初は、ごく親しい友人に自分のやり方を伝えていただけでした。より汎用性を持つために文章にしたこともあります。ただ、結論からいえば、蓄積されたお互いの不満を解決するのは非常に困難でした。ホテルのラウンジで話し合っていても、妻が泣いて、夫がおしぼりを投げつけて終わる――なんて修羅場も経験したんです。
すでに人間関係が固定化されてしまったところに介入するのではなく、結婚相談所として設立しつつ、定期的に夫婦関係をメンテナンスするやり方のほうが、私が考えるものに近いと思って現在の形態に落ち着きました。

武嶋愛さん
仕事が生きがいも、祖母の一言で結婚を決意
パートナーに対する不満がある人は…

「夫に不満がない」とのこと。「うらやましい」と思う既婚者も多いのでは?
ライター、エッセイスト。可視化されにくいマイノリティに寄り添い、活字化することをライフワークとする。『潮』『サンデー毎日』『週刊金曜日』などでも執筆中。Twitter:@kuroshimaaki
記事一覧へ
記事一覧へ
【関連キーワードから記事を探す】
この記者は、他にもこんな記事を書いています