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「この寝室には滝沢カレンが来た」と自慢…「電化製品で埋め尽くされた空間」で待ち受ける、令和のコンプラ‟完全無視”の76歳男性を直撃

建物の内部は「ほとんどが電化製品で埋め尽くされている」

 数棟ある建物の内部は、わずかな作業スペースなどをのぞき、どれもほとんどが電化製品で埋め尽くされている。全国から修理依頼の商品が届くだけでなく、たとえば閉店したパチンコ店を丸ごと買い取り、そこから家電、音響製品などを引き取ったものも。  修理・整備後に中古品として売れるのだとか。電子制御基板には貴金属の含有も多く、それも高く売れる。建物の壁に「二千万円マデ現金で買イマス」と書かれてた。閉店した物件を設備機器類すべて込みで買い取るのだとか。文字が消えかかっていたが、決してハッタリとかではないようだ(たぶん)。
ケネディー電気

「今は修理の時代だ」という特大文字が誇らしげ

 屋外の敷地も足の踏み場がないほど資材で溢れかえり、ズラリと並んだ大型冷蔵庫などは道具入れと化していたりする。外壁に特大フォントで「今は修理の時代だ」とあるが、とにかく廃棄処分は最後の手段と考えている。
ケネディー電気

「大物になるにはいいこと8、悪いこと2やるんだよ」……そんな発言も飛び出していた会津のケネディ

 外にある冷蔵庫には「見るな」「元気ですか!!」などのなぐり書きにまじって、「会津のケネディここに生きる」と書かれたものも。会津出身の社長は、中学生の頃から電気修理でお金を稼ぎ、地元で優秀なテレビ販売店として成功を収めた。店名は、当時、ソ連がキューバに核ミサイル基地を建設しようとするのを果敢に阻止した米大統領の名前を拝借。1998年から拠点を茨城に移し、現在に至る。

令和のコンプラなど完全無視…

ケネディー電気

プロペラはお気入りなのか、あちこちで目にした

 社長は話し始めると止まらなくなる。令和のコンプラなど完全無視。社長よりもハンダ付けが上手だという奥さんが隣にいても、女遊びの話や下ネタを連発。特に盛り上がると確信があるのか、芸能人の悪口ではますますヒートアップしがちで、2時間で取材を追える予定が、4時間過ぎても終わらないという……。
ケネディー電気

ギターを手にポーズをつける社長。プレスリーかギターを持った渡り鳥(小林旭)? 左利きになってるのでまさかジミヘン??

 実は「ケネディー電気」は、『ワンダーJAPAN』の創刊号で一度紹介済みだ。B級スポットライターの故・荒川聡子さんが記事を書いてくれた。その時はさほど風変わりなオブジェも多くはなかった。それが荒川さんのブログや小誌記事で世間に知られ、テレビや雑誌の取材が増えると、持ち前のサービス精神が発動し、奇妙な飾りつけが一気に増えていったのではなかろうか。  2025年現在、見学料1000円、スマホ撮影2000円、一眼レフカメラや動画撮影は5000円となっている。社長はとにかくクセが強いと思うので、くれぐれも自己責任で訪れてほしい。なかには迷いのない社長の発言に感化され、人生相談に行く人もいるというから世の中わからない。 <TEXT/関口勇>
『ワンダーJAPON』編集長(フリーランス・発行元はスタンダーズ)。廃墟、B級スポット、巨大構造物、赤線跡などフツーじゃない場所ばかり紹介。武蔵野美術大学非常勤講師。X(旧Twitter):@isamu_WJ
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