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「新NISAは“老後の資産形成”に向いていない」10億円投資家が力説するワケ。サラリーマンに有利な投資とは

新NISAはキャッシュフローが赤字に

もう一つ、新NISAにおける積み立て投資では困る問題が出てきます。積み立てによる投資は「ドルコスト平均法」がメリットになります。安いときにはたくさん買えて、高い時には少ししか買えないので、毎回同じ量を購入するよりも最終的に多くの量が購入できます。ただし、これは積み立てる資金が毎月手元から出ていくことでもあります。 それはつまり「Y(支出)が増える=キャッシュフローが赤字」の投資に該当します。投資に熱心になるあまり、日常で使えるお金を減らして、帰って生活が苦しくなる「新NISA貧乏」という言葉も話題になりました。そもそも、幸せになるために始めた投資で、かえって日常の満足度が下がるのは、残念なことではないでしょうか。 新NISAはあくまで「儲かった分」に対しての税制優遇制度で「必ず儲けさせてくれる制度ではない」という事実を忘れてはいけません。 非課税になることは確かにメリットですが、儲からなければその恩恵は受けられないのです。さらに新NISAには利益に税金がかからない一方で、利益が無いので損益通算ができないというデメリットもあります。損失を繰り越すことができないので、負けが確定されてしまうのです。新NISAは投資で勝って儲かる前提の制度であり、むしろ積み立てることでキャッシュフローがマイナスになるデメリットもあるので、それを理解せず「買って放置しておけば良い」とするのは大変危険だと考えています。これらの理由から「負けを極力回避したい」と考える私は新NISAの積み立てにはあまり積極的にはなれないのです。

サラリーマンならばiDeCoの方が向いている

むしろ同じ積み立てるのであれば、現在働いていて収入がある方はiDeCoの方が先に活用する投資だと思っています。iDeCoは原則として60歳まで資金をロックされるというデメリットはありますが、拠出した金額は所得から差し引かれるために支払う税金が減り、手元に残る金額は新NISAより増えます。つまり再投資できて複利で運用させる資金が新NISAよりは多く残るのです。 再三説明してきましたが、「Z=a(X-Y)+b」の公式のなかでは、「X-Yの(収入-支出)がプラス」であることが最も重要です。新NISAの制度を活用した投資とは、Y(支出)を増やしてb(貯蓄)に資金を移動させ、「利益に係る税金を減らすことでb(貯蓄)の最大化を図る」になります。それより、まずはY(支出)である税金を減らすことのできるiDeCoに取り組んだ方が、「より負けない投資になるのではないか」と考えています。 構成/上野 智(まてい社)
1976年生まれ。慶應義塾大学経済学部を卒業後、大手通信会社に勤務。社会人になると同時期に投資に目覚め、外国債・新規上場株式など金融投資を始める。その投資の担保として不動産に着目し、やがて不動産が投資商品として有効であることに気づき、以後、積極的に不動産投資を始める。東京23区のワンルーム中古市場で不動産投資を展開し、2019年に20年間勤めた会社をアーリーリタイア。現在、自身の所有する会社を経営しつつ、東京23区のうち19区に計38戸の物件を所有。さらにマンション管理組合事業など不動産投資に関連して多方面で活躍する。著書に『43歳で「FIRE」を実現したボクの“無敵"不動産投資法』(アーク出版)

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