ライフ

夏前にしておくべき「家のゴキブリ対策」を専門業者に聞いた。“部屋への侵入経路”や“効果のない対策”が明らかに

1回の交尾で一生分の卵を産む可能性も

「Gのメスは1回交尾したらオスの精子を溜め込んで一生分の卵を産むことができます。昔、水と髪の毛一本だけで『クロ』が何日生きられるか実験したら、飼育ケースにメス1匹しか入れていないのにどんどん卵を産んでいました」 「クロ」はひとつの卵鞘(らんしょう、卵の集合体)から通常15~28匹、「チャバネ」はひとつの卵鞘で30〜40匹が生まれるという。知れば知るほど厄介な虫だ。なぜ飲食店での完全駆除は可能なのか? 「脱皮を繰り返して成長するGは、幼虫も成虫も生息場所や餌も変わらないので、駆除業者からすると同じ方法で駆除できます。 また、『チャバネ』は寒い外では生きられず、とくに卵を持つメスや生まれたての幼虫はほとんど動かず、独身のオスでも建物を変えるほど行動範囲は広くない。Gが住み着きにくい環境なら、わざわざ隣の建物などから移り住むようなこともあまりありません」

蒸散殺虫剤タイプはG駆除に不向き

蒸散殺虫剤

※画像はイメージです

ただ、隣の物件で蒸散殺虫剤を使われたときなどは、住処を移すこともあるようだ。 「蒸散タイプは空間にガスを充満させるので、空間を飛翔しているハエや蚊には有効ですが、そもそもGは空間にいるのではなく、家具の裏などに潜んでいます。 問題は床下や冷蔵庫の裏など隙間の奥にいるGで、そこまで致死濃度のガスが瞬時に行き渡らなければ逃げるだけ。しかも、換気するとガスの効果は無くなります」 つまり、これら蒸散させている時しか効果はなく、換気後に侵入してくるGに対しての抑止力にはならないということだ。 最近発売された「電気で加熱して常時薄いガスを出し続ける蒸散剤」は上記のタイプと異なり、Gがあらたに侵入してくるのを防げるが、Gを死滅させるほどの効果はないという。 大野氏が推奨しているのは“毒餌タイプ”だ。 「当社も含めて、多くの駆除業者はベイト剤と数ヶ月間効果が持続する有機リン系の液体タイプの薬剤などを組み合わせて使っていますが、一般家庭ではベイト剤だけで十分です。 業者が使うベイト剤も市販商品の“毒餌タイプの薬剤”と中身は似ています。1回の駆除作業を徹底的に行えば、年2回の作業でも完全駆除は可能です。逆に1箇所でもコロニーを見逃すと、すぐにGは増えてしまいます」
次のページ
G駆除の2大ポイント
1
2
3
4
1988年生まれ道東出身、大学でミニコミ誌や商業誌のライターに。SPA! やサイゾー、キャリコネニュース、マイナビニュース、東洋経済オンラインなどでも執筆中。いろんな識者のお話をうかがったり、イベントにお邪魔したりするのが好き。毎月1日どこかで誰かと何かしら映画を観て飲む集会を開催。X(旧Twitter):@tsuitachiii

記事一覧へ