更新日:2025年06月13日 20:19
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『ここがヘンだよ日本人』名物外国人が振り返る壮絶半生。運命を大きく変えた「“左手の指”を切断する事故」

自分のことをエリートだとは思わない

――では、学費はどうしたんですか? ゾマホン:もちろん、自分で働いて稼いだ。ベナンには上流社会と中流社会と下流社会があって、私は下流社会の人間だったですね。だから、学費を稼ぐためには結構大変だった。  小学校を卒業して、中学1年生から私は家庭教師をしていたですね。あれは楽なアルバイトだけど、もっときつい車の掃除のアルバイトとかもしたね。 ――そういうふうに大学の学費を稼いでいったわけですか。 ゾマホン:もちろん。 ――周りの子どもたちも、ゾマホンさんみたいに勉強したんですか? ゾマホン:勉強した人も、そうでもない人もいるよ。でも、学歴社会だからハングリー精神で勉強した。金持ちの人は、子どもをフランスに留学させるですね。私みたいな貧乏な家の子どもは、海外なんて考えられない。でも、大学に行ってからベナンの国家試験を受けて全国3番目の成績だった。「人生に勝ちたい!」という気持ちで国家試験を受けて、中国に国費留学することができた。 ――ご自分のことをエリートだと思いますか? ゾマホン:思わない。プータローと思ってます(笑)。

本当は日本に留学したかったのだが…

――中国に留学しようと思った理由は? ゾマホン:行きたい国は日本だった。でも、残念ながらベナンに日本大使館はなかった。だから、行けない。ベナンの大統領の息子も、日本には留学することができない。なぜかというと、お金があっても保証人がいなければならない。でも、日本人と会えないのにどうやって日本人を保証人にできる? それは無理だったですね。だから、中国に行くしかなかった。「中国は日本に近いから、留学したほうがいいかな」と思った。日本に行くのは夢だった。 ――なぜ、そこまで日本に憧れを? ゾマホン:中学で日本の歴史と技術について学んだからです。ベナンではみんな、日本人はちょんまげをして、刀を持って歩いている人たちだと思っていた。今思い出すと、それは全部うそですね(笑)。 ――中国の暮らしはどうでしたか? ゾマホン:とっても楽しかった。国費留学だから、毎月3000円支給されたよ。3万円じゃなくて3000円の生活。1年間で3万6000円しかなったけど、それでもいい生活だった。私は「天国に来た」と思った。天皇陛下の息子みたいですね。だって、寮があったですよ。あとは、学費もゼロ。天国だよ! ――中国でもアルバイトはしたんですか? ゾマホン:もちろん、したよ。ルワンダ大使館の事務所の掃除をした。そこで大使と仲良くなった。大使が俺のことを好きで「車の免許は持っていますか? 私の運転手をやってください」って。 ――えーっ、すごい話ですね。 ゾマホン:うん。勤勉に掃除を綺麗にやってたから。 ――だから、信用を得たわけですね。 ゾマホン:そうです。だから、中国は楽しかったよ! 天国。
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1978年、東京都生まれ。2008年よりフリーライターとして活動中。得意分野は、芸能、音楽、(昔の)プロレス、ドラマ評。『証言UWF 最後の真実』『証言UWF 完全崩壊の真実』『証言「橋本真也34歳 小川直也に負けたら即引退!」の真実』『証言1・4 橋本vs.小川 20年目の真実 』『証言 長州力 「革命戦士」の虚と実』(すべて宝島社)で執筆。

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