更新日:2025年06月13日 20:19
エンタメ

『ここがヘンだよ日本人』名物外国人が振り返る壮絶半生。運命を大きく変えた「“左手の指”を切断する事故」

左手の指を切断したおかげで今がある

ゾマホン

指を切断するも、労災で大学に入ることができた

――過酷な生活ですね……。 ゾマホン:そしてある日、寝不足で疲れたまま工場で働いていたら、左手の人差し指を機械で切りました。 ――(ゾマホンの人差し指を見て)本当ですね……。そんなことがあったんですか。悲しい出来事だと思います。 ゾマホン:悲しいと思ってないよ! この事故のおかげでお金が出たですよ。労災、173万円。国からもらえたです。そのお金のおかげで上智大学に入る機会ができたですよ。一般試験を受けて、1996年に上智の教育社会学部に入った。博士課程前期の論文のテーマは、ベナンをはじめ中国、日本の初等教育で勉強する教科書の内容の比較でした。 ――その事故で、心はくじけなかったですか? ゾマホン:ないないない! この事故のおかげで、私には今日という日があるわけだから。日本で一番好きなのは、「おかげ様」という言葉。中国の「おかげ」で、私は日本人に出会えた。そして、日本人の「おかげ」で私は成功しました。今、1人で歩いても心がうれしくてたまらないです。本当に幸せ。「やったね! 日本にお世話になった32年間、これはすごいな」と、思ってます。

偶然の巡りあわせで番組出演することに

――ゾマホンさんといえば、『ここがヘンだよ日本人』の出演が印象深いです。この番組に出演するようになった経緯を教えてください。 ゾマホン:私は神様を信じてます。1994年3月17日、私は成田空港に着きました。ちょうど4年後の1998年3月17日、夜中3時にアルバイトが終わって給料をもらったですよ。1ヶ月分の給料だから6万ちょっとをもらい、いいものを食べようと阿佐ヶ谷のラーメン屋さんに入った。480円の味噌ラーメン(大盛り)頼んで待っていたら、稲川素子オフィス(※外国人タレントが多数所属する芸能事務所)の人が急に店に入ってきたですよ。  その人に「Can you speak English?」「Can you speak Japanese?」と聞かれました。「うん、少し」って答えたら「オッケー。明日、赤坂のTBSで『ここがヘンだよ日本人』という番組があります。1回出たら1万5000円もらえます」と言われたの。「え!? 出ますよ」と答えました(笑)。次の日、電車に乗って赤坂に行ったですよ。そしたら、外国人が300人いた。多くの出演者は配偶者のビザで来てて、あとは学生もいっぱいた。 「本当に今日は1万5000円もらえますか?」って言ったら、みんな笑ってた。「いや、笑い話じゃなくて本当にもらえるんですか?」とスタッフに聞いたら「うん、身分証明書を見せたらすぐ渡すから」って。
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テレビを見れないから、誰も知らない
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1978年、東京都生まれ。2008年よりフリーライターとして活動中。得意分野は、芸能、音楽、(昔の)プロレス、ドラマ評。『証言UWF 最後の真実』『証言UWF 完全崩壊の真実』『証言「橋本真也34歳 小川直也に負けたら即引退!」の真実』『証言1・4 橋本vs.小川 20年目の真実 』『証言 長州力 「革命戦士」の虚と実』(すべて宝島社)で執筆。

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