更新日:2025年06月13日 20:19
エンタメ

『ここがヘンだよ日本人』名物外国人が振り返る壮絶半生。運命を大きく変えた「“左手の指”を切断する事故」

テレビを見れないから、誰も知らない

――そのとき、ゾマホンさんはスタジオにいる出演者のことを知らなかったんですね。 ゾマホン:知らない。私が持ってたのはゴミ置き場で拾ったテレビだったです。バンバン叩かないと映像が出てこない。残念ながら、私はテレビを見れない! だから、誰も私は知らなかった。そして、私は体が痛いですよ。 ――仕事で疲れていたんですね。 ゾマホン:荷物を運ぶのが大変で。だから、番組始まってから2~3分後に、私は寝てしまったです。途中でいびきかいて「カーッ、カーッ」。 ――収録中にいびきをかいたんですか(笑)。 ゾマホン:そしたら、プロデューサーが収録が終わる3分前に「まだ喋ってない外国人はいますか?」。そしたら、隣にいたウクライナ人が私のことを指差した。そして、ガンマイクでいびきを録られて。私は本当にぐっすり寝ている。だって、みんなワーってしゃべって、配偶者がいるから私より日本語がペラペラ。私はそんな流暢な日本語を喋れなくて、言いたいことが言えないから怒ってたですね。だから私は収録が始まってからずーーっと寝てたですよ。  ほかの外国人は「寝てるぞ、あの黒人が!」と騒いで。起きたら、ケビン・クローン(※アメリカ人の出演者)から「何やってんの、お前!」と言われて、「うるせえよ、おまえ」ってケンカが始まったですよ。  その日のテーマについて、私は「ベナンで日本人に会ったことはないです」と言った。「自分の国で日本人に会ったことがない!  日本人の観光者はヨーロッパとかアメリカとか、欧米しか行かない!! アフリカのほうは行かないでしょう。だから、このテーマは話にならない!!! もう、終わり!!!!」って怒りながら言ったですね。

楽屋に呼ばれ、その後レギュラーに

――本気でゾマホンさんは怒っていたんですね。 ゾマホン:そうです、演技じゃない! タレントじゃないから、演技なんてわかんない!! それで収録が終わって、ほかの外国人とケンカしないように私はガードされたですね。でも、殴りかかられても私はオッケーだよ。俺、もうやってやるからさ。 ――ケンカは買うと(笑)。 ゾマホン:やるやる! もう、殺すまでやるよ。不安は全然ない。お腹すいてたし、1万5000円もらえるし、やるよ! ――テリー伊藤さんとも、毎回、ケンカしてましたね(笑)。 ゾマホン:テリー伊藤、最初は敵だった。今はもう、敵じゃない。今は本当に仲いいです。昔は、私が「日本人になりたい」と言ったら「おまえは無理だよ、馬鹿野郎。あの馬鹿な黒人は日本人になれない!」って(笑)。 ――テリーさんは、そういうキャラを演じていたところがありましたけどね(笑)。 ゾマホン:テリーが演技をしているかどうか、当時はわかんない。俺は本気で言ってるから。「おい、黒人! おまえ、死ね」「え、俺? 死にたくないよ」「死ね、馬鹿野郎」「ダメだな、こいつ」って。もう、殴りたいぐらいですよ。いつもプロデューサーが警備員を呼んで、「ゾマホンが暴れないように気をつけろ」って言ってたです。でも、今は本当に仲良くなった。 ――ゾマホンさんは番組が生んだスターでした。 ゾマホン:ありがたいことです。中国から日本に来たり、ラーメン屋さんでスカウトされたり。だから、私は“縁”を信じています。 <取材・文/寺西ジャジューカ 撮影/スギゾー>
1978年、東京都生まれ。2008年よりフリーライターとして活動中。得意分野は、芸能、音楽、(昔の)プロレス、ドラマ評。『証言UWF 最後の真実』『証言UWF 完全崩壊の真実』『証言「橋本真也34歳 小川直也に負けたら即引退!」の真実』『証言1・4 橋本vs.小川 20年目の真実 』『証言 長州力 「革命戦士」の虚と実』(すべて宝島社)で執筆。
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