仕事

「メモ取らなくて大丈夫?」をハラスメントと感じる若者たち。 20代と50代で“意識の格差”が生まれるワケ

「法律ではOKだから大丈夫」という考え方は…

――業務上の指導もハラスメントだとなると、さすがに厳しいですよね。 永井:はい。一方で、ややこしい話ですが、法律が規定するハラスメントの定義に当てはまらないからOKとも言い切れないんです。なぜなら、先ほど申し上げたように「ハラスメントと感じる」のは個人であり、そう受け止められた結果、業務に支障を来したり、ひどい場合は退職してしまうこともあり得るからです。特に労働人口が減っている今、「法律ではOKだから大丈夫」という考え方はやや危険かもしれません。 ――どのようにすればそうした世代間の認識のずれを減らせるのでしょうか。 永井:企業が「ここまでは業務指導で、ここからはハラスメント」ときちんと線引きを示すことではないでしょうか。ハラスメントの問題は、個人間での問題ではありますが、同時に、企業の雰囲気も関係してくる問題です。「これはハラスメントに該当しない」と毅然とした態度で臨むことも必要だと思います。  意識調査では、カスハラに関わる内容も多くありました。「前回このお店で対応してくれたことが、今回なぜできないのか?」と言われることについて、20代のおよそ5人に1人がハラスメントだと感じているということです。しかしこれについても、企業全体として「前回はやっていたが、今回はそのサービスを行っていない」と明言することで、社員のストレスを減らすことができます。個別的な対応に任せきりになると、結果的に個人の負担が多くなり、ハラスメントだと感じやすくなる傾向はあると思います。

男性上司に「私と話をしてください」と…

――永井さんは社労士として、ハラスメントに関する大規模調査を行っていますが、世代間のギャップに着眼したきっかけは何でしょうか。 永井:新卒で入った会社での出来事が根底にあるのかもしれません。当時、仕事上のコミュニケーションはきちんと行っていましたが、年齢が倍以上も違う上司に対して、自分のプライベートを開示するような付き合い方をしていませんでした。  ある日の朝早い時間、周囲にあまり人のいないところで、男性上司から「もっと私と話をしてくださいよ」と大声で言われました。非常に驚いたのを覚えています。幸い、精神を病むことなく済みましたが、もしも私が女性だったら、恐怖に感じたかもしれません。また、そもそも「なぜプライベートな話を上司にしなくてはいけないのか?」という疑問も浮かびました。
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昔は「会社=家族」に近いものだったが…
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ライター、エッセイスト。可視化されにくいマイノリティに寄り添い、活字化することをライフワークとする。『潮』『サンデー毎日』『週刊金曜日』などでも執筆中。Twitter:@kuroshimaaki
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