仕事

「メモ取らなくて大丈夫?」をハラスメントと感じる若者たち。 20代と50代で“意識の格差”が生まれるワケ

昔は「会社=家族」に近いものだったが…

――「アットホームな会社」を売りにする企業はいくつかありますが、負の側面もあるわけですね。 永井:考えてみると、年配者の働き方は、「会社=家族」に近いものだったと思います。そうした組織力や結束力によって、業績が伸びてきた側面を私は否定しません。  しかし頑張っても頑張ってもなかなか給料が伸びていかないなかで、ひとつの企業に入社したら定年退職までを捧げるという帰属意識は薄れつつあると思っています。事実、私の経営する法人にも大学生のインターンがいますが、彼らは就職活動を「ファーストキャリア」と呼んでいます。つまり、第2第3のキャリアがあるということです。  そうした世の中で、プライベートまでを上司や同僚と過ごすことを当たり前と強要するのは、場合によってはハラスメントと感じるのではないでしょうか。

「社労士7%Club」メンバーたちの意識

――永井さんが作った「社労士7%Club」ですが、会員からはどんな声が届いていますか。 永井:30代以下が7%しかおらず、20代に限定すれば0.2%という希少さです。社労士は全員、社労士会に所属することで社労士を名乗れるわけですが、みんな、所属する社労士会では最年少だといいます。同年代、似た境遇の人が少ないなかで、こうした同じ年代のつながりがあるのは安心できると言ってくれます。  付言したいのは、私は「若い人の言うことを聞くべき」と思っているわけではありません。場合によっては、社会経験の長い先輩が「それは甘えだから改めるように」と指導することも必要でしょう。しかし信頼関係なしに、何気なく発した言葉で貴重な人材が辞めてしまうことがあるとすれば、それは双方にとって残念なことであり、避けるべき事態だと思っています。  社労士という立場で大規模な調査を行えたことで、世代間で考えていることが微妙に異なることもわかりました。若手は「なぜハラスメントに該当すると思うか」という質問に、「何となく」「気持ち悪いから」というような、フィーリングでの回答が目立ちます。そうした傾向もふまえて、若い人も経験が豊かな人も活躍できる企業が増えていけばいいなと思っています。 =====  永井さんはフラットな人だ。自らの経験から、単に法律が規定する定義のみに頼らず、「ハラスメントとは何か」を掘り下げた。年配者の感覚や経験知を「古い」と切り捨てない思慮に富む。どんな年代の人も活躍できるように。永井さんの活動には、そんな願いが込められている。 <取材・文/黒島暁生>
ライター、エッセイスト。可視化されにくいマイノリティに寄り添い、活字化することをライフワークとする。『潮』『サンデー毎日』『週刊金曜日』などでも執筆中。Twitter:@kuroshimaaki
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