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「万引きに頭が支配されていた」窃盗症に苦しんだ43歳女性の告白、パワハラと性自認の悩みが引き金に

上司からの激しいパワハラが今もトラウマに

摂食障害を患った高橋さん

25歳の時に就職した病院で仕事に打ち込むが、「お前には価値がない」「うちだから雇ってやっているんだ」など、上司からの暴言に悩まされる。ストイックに自分を追い込んだ悠さんは、毎日、終電も気にせず働き、親も含む人間関係を断ってしまうほどだった。 奇しくも、30歳の頃に母親が大きな交通事故に遭い、その病院を退職し実家に戻る。だが、「無能だと捨てられる」というトラウマは今も残り、働かないでいることはできなかった。 「実家に戻ると、病院時代の元同僚に誘われ、すぐに再就職しました。ホワイトな職場でしたが、自分でどんどん仕事を背負い込んでしまう。1人でブラック勤務状態でした」 彼女は、「ほどほど」ができなかった。その性格から、「生活でやることリスト」を作り、本来ならリラックスのために使う、アロマディフューザーの使用時間もリストで決めるほどだった。そんな生活にも限界がきた。悠さんの様子がおかしいことに気づいた、先輩看護師のススメで、心療内科を受診することになった。すぐに1か月、うつで休職することになる。復職後も定時退社を促され時間が余るようになり、過食費を節約するために、お店巡りをするようになった。それが万引きのきっかけとなってしまう。

強迫的な万引き衝動

「最初は、お店で割引になっている食材を買い、得した気持ちを楽しむだけでした。だんだんと値引き前の食材に、値引きシールを貼りかえるようになりました。ある日、売り切りが迫ったパンを見つけ、店員に貼り忘れているから割り引いて売ってくれないかと交渉しましたが、売ってくれませんでした。知っているお店だったので、その食材は廃棄になることが分かっていました。次に行くと、また同じように値引きを忘れている商品がありました。“どうせ廃棄になるなら” と盗ってしまった」 それまではシールを貼りかえるなどで堪えていた悠さんの心が、決壊した瞬間だった。 そこから1年半は、「万引きする→盗った商品を眺めて満足する→過食嘔吐する」というループにハマっていく。 復職後は徐々に仕事量が増え再び仕事に没頭するも、所属していた部門が閉鎖となり会社都合退職を打診された。「部門を立て直すようにと異動し、結果も出したのに閉鎖が決まった。自分がしたことが報われなかった」気持ちは万引きに拍車をかけた。働いて人の役に立つことで承認欲求を満たしていた彼女は、仕事をなくし経済不安も抱くようになり、急き立てられるように万引きを続けた。買っていた通勤定期が切れるまでの半年間は、定期の範囲で、途中下車し、色々なお店で万引きを繰り返す。 当然、逮捕されることになるのだが、悠さんは「2回目に捕まったらやめよう」「自分の意思でやめられる」と思っていた。 「2回目に捕まった時に、『3回目に捕まったらやめよう』と思ったんです。2回目までと同じことを考えている自分がいた。クレプトマニアの本は読み、知識としては知っていたので、自分から専門病院を受診し、自助グループにつながりました。保身のためもありましたが、『辞めたいと思えない』自分に苦しみました」
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自分の悩みを吐き出すことで癒された心
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ライター・原作者・あいである広場編集長。立教大学経済学部経営学科卒。「認知症」「介護虐待」「障害者支援」「マイノリティ問題」など、多くの人が見ないようにする社会課題を中心に取材する。文春オンライン・週刊プレイボーイ・LIFULL介護などで連載・寄稿中。『認知症が見る世界』(竹書房・2023年)原作者

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