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「万引きに頭が支配されていた」窃盗症に苦しんだ43歳女性の告白、パワハラと性自認の悩みが引き金に

自分の悩みを吐き出すことで癒された心

万引きの過去を振り返る高橋さん

「専門病院を受診しても、自助会に参加しても、『盗った』とも『盗らなかった』とも言わなければ嘘ではないと思いました。なので、悩みを素直に打ち明けられなかった。通院しても待ち時間に万引きしてしまう。4回目の逮捕もされました。それでも諦めずに自助会に参加し続けていたら、盗らない期間ができ、正直に悩みを話したら盗る気持ちがなくなったという体験談に触れ、辞められるイメージが持てました。盗れる環境では我慢できないと思い、盗り納めをしてから入院しました」 元々、節約家だった彼女は、貯金から生活費・治療費を出し、被害弁済(迷惑料を上乗せして主治医の名前で返金する)をした。 「病院では当事者のミーティングがあるのですが、そこで自分の万引きの過去を話したら、すごく楽になって盗る気持ちがなくなったんです。クレプトマニアになったのは、その悩みを誰にも打ち明けてこなかったことが大きな原因だったと思っています。医師も、親も、打ち明けたことを『よく言ってくれた』と褒めてくれました。それを機にXジェンダーのことや過去のパワハラのことなど、自分の中で抱え込んできたことを外に出せるようになりました。秘密や孤立が減り、万引きで心を満たす必要はなくなりました」 そこから6年間は、スリップもせず、正社員としての勤務はやめ、自分のペースでできるNPO法人で事務を手伝いながら、クレプトマニアの啓発活動をしている。万引きをしない生活は、背中から羽が生えたように楽だと感じているという。

犯罪行為だから赦されないのは当たり前

クレプトマニア専門病院の被害弁済に関する誓約書

悠さんは、メディアでの取材にも積極的に応じているが、反響は様々だ。 「支援が必要な病気であると理解して欲しいとは思いますが、厳しい批判があるのは承知しています。万引きは犯罪だから、当たり前だと思っています。刑罰も支援も必要です。当事者同士だと痛いところが分かりあえるので聞かないことも、当事者でない人は突いてきます。そこから気づかされることも多いです」 彼女は今もお守りとして、病院から発行された被害弁済の書類を持ち歩いている。6年使ってないその用紙はボロボロになっていた。だが、そこに彼女の強い立ち直りの決意を感じた。 <取材・文/田口ゆう>
ライター・原作者・あいである広場編集長。立教大学経済学部経営学科卒。「認知症」「介護虐待」「障害者支援」「マイノリティ問題」など、多くの人が見ないようにする社会課題を中心に取材する。文春オンライン・週刊プレイボーイ・LIFULL介護などで連載・寄稿中。『認知症が見る世界』(竹書房・2023年)原作者
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高橋悠さんが運営する
「クレプトマニア(窃盗症)当事者によるサイト クレプトマニアからの脱却」
https://kleptomania-dakkyaku.com/
当事者からのメール相談にも応じている