不測の事態で生まれた“アドリブ解禁パフォーマンス”

若井友希
間奏後の歌い出しでは若井が「ぼくの物語は、消えないよなー!!」(若井)と客席を煽り、普段はクールな久保田が「信じた夢の先は、間違いじゃなかったよー!!」とシャウトする姿とその叫びに、ぐっと心を掴まれたファンも多かったことだろう。
曲が終わり山北が、「幕が下りてきた瞬間、踊る場所がないと焦りました」と状況を説明しつつ、改めてライブの詳細を語る。
メンバーたちにサプライズなだけでなく、まさかのライブ本編、曲中の情報解禁とあって、会場内は異様な空気に。スタッフからのカンペを山北が読み、もともとはアンコール後に情報解禁をするはずが、メンバーの提案でセットリストが更新されたことで、本編中の解禁となってしまったというのだ。

茜屋日海夏
「みなさん驚かせてすみません。これが読まれている頃にはうまく解禁されていることを願っています」と、若干投げっぱなしなコメントだが、その言葉通り、うまく解禁されたのだから、たいしたものである。
これはi☆Risの経験値と、彼女たちを信じたスタッフの信頼がなし得た奇跡に近い“アドリブ解禁パフォーマンス“だった。アイドルの生の現場の良さを体感できた瞬間だった。
「めっちゃうれしいんだけど……埋めたすぎて涙が出てくる」と泣きながら、「これで100%達成できたら、うちらめっちゃアイドルしてるよね」という若井の言葉に、会場から歓声が上がる。
「今年こそはぴあアリーナMM埋めましょう! 今からなら有給取れるでしょう」と山北が煽り、「土曜日だから、次の日休めるから」(芹澤)「いい日にとってくれてありがとうございます。きっと相当前からおさえてくれたんでしょう」(若井)とコメントしていく。

芹澤優
このあとにも、メンバーたちが会場の通路をねり歩く演出など、盛り上がる要素はいくつもあったのだが、終わってみれば、印象に深く残っているのは、この“アドリブ解禁パフォーマンス”だった。
紗幕が降りてきたときに抱いた違和感「もしかして……」
ちなみに終演後、山北と久保田にこの裏側を聞いたところ、このように語ってくれた。

山北早紀
山北:たしかに、おかしいなと思ってたんですよ。もともと「希望の花を」はアンコールでやる予定だったけど、私たちメンバー側はちょっと違うなと思ってて。
でもスタッフさんたちがアンコールでやるのにすごくこだわってたのは、こういうことだったんですよね。
紗幕が降りてきたとき、おや……? と思って、少し考えたあとで、もしかして、そういうことだったかーって。
久保田:少し前に、そういえば、今年の周年ライブの予定が、カレンダーに入ってないな……って違和感があったんですよ。メンバーによっては、先々の予定なんか見てないかもしれないけど、私はけっこう先まで確認したいタイプなので。
それがあったので、紗幕が降りてきたときに、もしかして……って思いましたね。

久保田未夢
ステージ上のアドリブ力だけではなく、その状況を察する力も、さすが13年目と言わざるを得ない、解像度の高さだった。
【i☆Ris】
‘12年、結成。リーダーの山北早紀、芹澤優、茜屋日海夏、若井友希、久保田未夢からなる5人組声優アイドルユニット。4月30日発売の5thアルバム「ViVa i☆DOL」の表題曲「ビバ☆アイドル!」は、=LOVE「絶対アイドルやめないで」の作曲を手がけたGENICの小池竜暉が作詞作曲編曲を担当したほか、僕が見たかった青空の早﨑すずきもピアノで楽曲制作に参加。11月15日には、「i☆Ris 13th Anniversary Live」が2年連続ぴあアリーナMMで開催されることが決定した
<取材・文/森ユースケ>