ライフ

物議を醸した福岡市の“唐揚げ1個給食”「献立1日分だけ」を切り取る”SNSの声”や、事態を煽る報道こそ改善されるべき

SNSの声が悪いわけではないけれど

ほかにもいろいろ調べていくと、小学校の給食事例として目を見張るような好事例を発見することができます。都内他エリアの小学校ではかわいいイラスト入りの献立表が配布され、メロンやサクランボなどの豪華なフルーツが登場。他県の郷土料理や海外の名物料理が出てくることもあるそう。これならば、食べる楽しみを存分に体験することができます。 また、食育という側面だけでなく、思い出に残るようなすばらしい取り組みが行われています。例えば兵庫県川西市では、6年生の児童にアンケートをとり、卒業前にもう一度食べたいと思っている給食を3学期の献立に反映する「リクエスト給食」を実施。喫食中には、教室の電子黒板に小麦粉とバターから手作りで調理される様子や給食にまつわるクイズが映し出されるそうで、これらは給食の時間における食に関する指導の時間が有意義になるよう、日々栄養教諭が作成しているとのこと。このエピソードを聞いて想像するだけでも心が温かくなります。 ここで私が伝えたいのは、SNSが力を持つようになった今、このような良い事例が大きなニュースになることはほとんどなく、ネガティブなものが大きな話題になりやすい傾向にあるということ。SNSの声が悪いのではありません。問題なのは、 「福岡市の給食はヤバい」と強調し、「日本の学校給食のレベルが落ちた」と悲観するような報道が闇雲に増えてしまうことです。良い事例にもしっかり光が当てていく必要があるのではないでしょうか?

学校給食を豊かにするためには何が重要なのか?

一方で、食料品高騰が続く今、「据え置きの給食費では献立が貧しくなって当然」という声があります。そこで、素晴らしい事例を発見しました。給食費問題に対しても前向きな工夫をする自治体があるのです。 埼玉県ふじみ野市は、ふるさと納税型クラウドファンディングを活用して賛同者からの寄附を募ることで、今年の8月に特別な記念給食を提供することを発表しました。これは、ふじみ野市で育ち、学校に通えることの喜びを子どもたちに感じてもらうため、思い出に残る記念給食を提供したいという思いから、ふじみ野市誕生20周年を記念して企画された事業です。このような事例もしっかり紹介していく必要があると、私は強く思います。 ===== 学校給食の問題は、該当する自治体や学校だけが抱えることではありません。市民の目や声、メディアの報道のあり方も今後ますます重要になっていくでしょう。そのような意味でも、今回の福岡市の給食は、多くの人々に考えるきっかけを与えてくれたのではないでしょうか。 <TEXT/スギアカツキ>
食文化研究家、長寿美容食研究家。東京大学農学部卒業後、同大学院医学系研究科に進学。世界中の健やかな食文化を追求。女子SPA!連載から生まれた海外向け電子書籍『Healthy Japanese Home Cooking』(英語版)が好評発売中。Twitterは@sugiakatsuki12
1
2