ニュース

「うまトマ」大ヒットも…“高級化”路線で「牛丼メインじゃなくなった」松屋が“増収減益”に苦しむワケ

課題は「収益構造の見直し」

松屋外観しかし、食材費の高騰などにより、原価率は36.1%(前期34.2%→+1.9%)と前年より上昇。 その結果、営業利益は前期比-17.2%の44億600万円となり、営業利益率は2.9%(前期4.2%、-1.3%)と増収減益となった。営業利益率の理想値は10%だから、相当な差がある。 外食店のKPI(業績重要指標)であるFLコスト(売上原価と人件費の合計)は前期の65.8%から66.9%と上昇。標準値である60%以下を大きく上回っており、この点も課題だ。 牛丼一本勝負なら調理作業も楽だが、定食メニューがよく出る松屋は作業が煩雑化し、食材費も労務費の負担も大きくなる費用構造だ。 加えて、メニューの入れ替えが活発な松屋の商品政策は、顧客は満足しても店の利益は少なそうだ。 単純計算だが、今の松屋の利益率では1000円の定食から店が得られる利益は30円程度しかないことになり、薄利多売の収益構造になっているようである。 商品が多品種化している中で効果と効率の観点から、原価率の適度な抑制と作業の効率化による人件費の削減を念頭に、全体最適化を追求することが必要ではなかろうか。

今期の売上は好調だが…

煩雑化の影響

業務煩雑化の影響か、平日ランチタイムには提供まで「14分待ち」になってしまうことも

今期(26年3月期)に入っても4月・5月累計で売上は好調だ。前年比で全店ベース+26.6%、既存店ベースで売上+15.5%、客数+5.7%、客単価+9.3%と伸ばしている。 売上が伸びているから費用構造を見直し利益率を上げるのは簡単ではと考えがちだが、理屈通りにいかないのが外食店の奥深さだ。 財務状態は新規出店や店舗改装、工場生産設備などへの攻めの投資で、固定資産が約701億8600万円に増加した。 これらにより、総資産が1,041億5500万円と130億3400万円増加。その為に自己資本比率は前期の48.1%から-4.3%低下し43.8%となった。 ROE(自己資本当期利益率)は4.9%で理想値である8%~10%には程遠く投資効率は低い状態である。
次のページ
朝食メニューのお得感は変わらず
1
2
3
飲食店支援専門の中小企業診断士・行政書士。自らも調理師免許を有し、過去には飲食店を経営。現在は中村コンサルタント事務所代表として後継者問題など、事業承継対策にも力を入れている。X(旧ツイッター):@kaisyasindan
記事一覧へ
SPA!編集部が「人生後半を賢く楽しく生きる」をテーマに厳選した記事をメルマガ会員限定で毎週金曜日にメールでお届けします。仕事・お金・性・人間関係…人生を豊かにする秘訣が見つかります。無料・10秒で完了です。
無料でメルマガ登録する⇒⇒
※登録後、メール認証が必要です。受信した認証メールをクリックして、登録を完了させてください。
※認証メールが届かない場合、迷惑メールに入っているか、メールアドレスが間違っている可能性があります。再度ご登録ください。