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「手を使わずに食え」新聞紙の上の食事…女性記者が明かす“父に支配されていた”恐怖の幼少期「殴る、蹴るはまだマシだった」

「手を使わずに食え」と言われた

体の痛み以外で辛かったのは、食事を与えてもらえないこと。食べさせてもらえても、新聞紙の上に白米とおかずを盛られ、「手を使わずに食え」と言われるときもあった。犬と一緒だ。いや、犬でも器を使っているか……。これは、かなり屈辱的だった。私も子どもながらにプライドもあったのだろう。そんなことができるかと食べずにいると、髪を掴まれ、食事に顔を押し付けられた。 「せっかく食べてもいいって言ってやってるのに」 反論はできないし、痛いし、息ができない。辛かった。呼吸をするために、口元にある食事を頬張った。泣きながら、無理やり飲み込んだら「こんなことをされても食べるなんて意地汚い」とののしられた。 味はしない。でも、結局、食べた。食べないと殴られるから。手を使わずに、動物のように食べた。

小学校に行かせてもらえなかった

逆らえばいいのに、家から逃げ出せばいいのに、と言うだろうか。 子どもだから、お金がないから、というだけじゃない。殴られるのも、食べられないのも全てお前が悪いからだ、と教え込まれている人間にそんなことができるはずがない。逃げてもその先でまた殴られるから。 食事がもらえないのも、殴られるのも私が不出来だから。泣いて乞うて、やっと食べさせてもらえる食事がおいしいはずもなかった。たまに母に会うと手料理をふるまってくれようとするのだが、いまだに母の手料理が好きではない。特に揚げ物。母には申し訳ないが、無理やり食べさせられた脂っこい肉の匂いと新聞紙の匂いが混ざったものを思い出す。 周りに助けてくれる大人はいなかったのか。当時はいない、と思っていた。なぜなら小学校には行かせてもらえていなかったから。 勉強は家でやらされていた。父は元塾の講師で、教材は山のようにあった。7歳のときから中学校程度の教材をやらされていた。自分の子どもだったらこれぐらいできて当然だ、と。もちろん、できなければ殴られる。そして私は頭が良くないのでできない。
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周りの大人は助けようとしてくれていた
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大阪府出身。大学卒業後、フリーランスのライターとして執筆活動を開始。ゲームシナリオのほか、インタビュー、エッセイ、コラム記事などを執筆。やせ型の夫とうさぎと暮らしている。X:@pukuryo
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