ライフ

「女性のあおり運転」はなぜ少ないのか?“加害する側の心理”を元教習所指導員が分析。「論理的に解決しようとする男性と比べて」

男女差はあるのか?

あおり運転で検挙されたという報道を見ると、そのほとんどが男性のように感じます。そこで疑問なのが、あおり運転する人は男性の方が多いのだろうか?ということ。実際に性別による統計データなどは、調べた限りありませんでしたが、男性のほうが運転中にイライラしやすいともいわれています。 ここからは、性差による運転中の心理を考察してみたいと思います。 一般的に男性脳の人(男性が多いが女性もいる)は論理的に問題を解決しようとする傾向にあることがわかっています。それに対して、女性脳の人(女性が多いが男性もいる)は過去の経験や体験などを参考にして解決しようとする傾向にあるといいます。 この傾向から考えると、女性脳の人は運転中に前の車が遅かった場合、これまで経験したことがなければ何もできずに、遅い車に追従するしかありません。一方で、男性脳の人は、論理的に解決するわけですが、前に遅い車がいるなら、早く走るように促そうと考えるかもしれません。あるいは、追い越せば早く走れると考えることもあるでしょう。 ところが、前の車の速度を後ろからコントロールすることなどできるはずがありません。結果として、思い通りにいかず、あおり運転につながってしまう、そう考えても不思議はないと思います。 普段から運転するという数人の女性に「急いでいるとき、前に遅い車がいたらどうするか」と聞いてみましたが、ほとんどの女性が「仕方ないから諦める」「それを見越して早めに出発する」「違う道を行く」といった意見が聞かれました。男性にも同じ質問をしたところ「他の道を走る」「しばらくついて行って様子を見る」という意見のほかに、「うしろに車が迫っていることを知らせる」と話す人もいました。これは結果としてあおることにつながるため、違反になる可能性があり注意が必要です。 単純に男性のほうがあおり運転をしやすいと決めつけるわけではありませんが、性差による違い、傾向はあるのかもしれません。 あおり運転は違反行為を問われるという以前に、大きな事故やトラブルにつながるたいへん危険な行為です。交通ルールを守り周囲に迷惑をかけない適切な速度での運転が、あおり運転をしない、させないために重要なのです。 〈文/室井大和〉
自動車ライター。出版社の記者・編集者を経て、指定自動車教習所の指導員として約10年間勤務。その後、自動車ライターとして独立し、コラムや試乗記、クルマメーカーのテキスト監修、SNS運用などを手がける。
1
2