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たった1日で腐敗が進むことも…特殊清掃員が語る“夏の孤独死”の壮絶現場「依頼の半分くらいが熱中症や脱水症」

暑さとの過酷な戦い

スタッフ

スタッフの水分補給も欠かせない

 夏は、働く従業員も暑さとの戦いである。作業中に熱中症で倒れることがある。 「とにかく暑さ対策の福利厚生はきちんとするようにしています。首に巻くネッククーラーや塩タブレットを用意したりとか、大量のスポーツドリンクを用意しておくとか。でも防護服を着ていると水を飲みにくいので、必然的に熱中症で倒れてしまう従業員は出てきます。個人的には冷感素材の長袖の服を着るようにして対策をしています」  やはり、現場は過酷だ。 「サウナに入りながら力仕事をずっとするような世界なので、環境に慣れている人でも気をつけないと熱中症になってしまいます。9月下旬には暑さも落ち着いてくるのですが、毎年この季節は『気を引き締めていけよ』と気合いを入れます」  特殊清掃の依頼は夏場に増える傾向にあるそうだが、夏場に減少する死因もあるという。 「自殺の数は圧倒的に減ります。春先は自殺での孤独死現場が多いのですが、夏はほとんどありません。寒い地域は自殺率が高くて暖かい地域は自殺が少ないらしいので、四季がある日本にも当てはまっているのかもしれません」

夏の遺体は腐敗スピードが早く、現場は地獄絵図に…

特殊清掃 熱中症で倒れる場所は、ある程度決まっている。 「熱中症で倒れている場所としては布団やベッドなどの寝床ではなく、トイレの前とか玄関が多いです。寝ている間に体調が悪くなり、目覚めて、吐き気を催して、トイレに這って向かう途中だとか、助けを求めて外に出ようとしたときに力尽きるのだと思います。男女比でいうと、男性の方が多いです。理由はわかりません」  夏場の孤独死は発見されやすい傾向にある。 「理由のひとつに、遺体が腐敗するスピードが早く、臭いが広がりやすいというのがあります。すぐに外に臭いが漏れてくるので、発見につながります。夏場は窓を開けて過ごす人たちが多いので、匂いを感知するのも冬に比べて段違いに早いです。しかし、『臭いに耐えられないから外で洗濯物も干せない』『臭いが完全に取れるまでホテルを借りるからホテル代を持ってくれ』といったトラブルに発展することまであります」  近隣住民から「ホテル代を持ってくれ」と言われたらどうするのか……。 「遺族の方々が、『迷惑をかけたので払います』といったパターンはありました。賃貸物件で借りる時の契約にも、孤独死した場合について書いてあることはほとんどないと思います。払った遺族は、かなり仁義がある方だと思います。我々も近隣住民に迷惑をかけないように、少しでも早い現場対応が求められます」 特殊清掃 夏場の遺体の腐敗スピードは尋常ではない。 「本来なら3日程度なのですが、夏場で環境が劣悪だと1日で腐敗が進んでしまいます。そこで気づけばいいのですが、近隣住民がいなくて変な臭いがするといった苦情がなかった現場もあります。  そういった現場は、遺体がドロドロになっているケースが多く、悲惨な状態になります。ハエも集まりやすく、換気扇から中に入ったハエが卵を産んで成長し、網戸のところに中からも外からもハエがぎっしり集まってきて、まさに現場は地獄絵図。そこでようやく少し離れたところに住む住民が、『最近ハエが増えたな』と気づき、孤独死が発覚するケースも多いです。冬場は発見に1か月以上かかる現場があるのですが、夏場は最長で2週間ほどで孤独死が発見されるので、冬場に比べて夏場は仕事が増えるのです」 <取材・文/山崎尚哉>
(公社)日本ペストコントロール協会認証技能師。1992年、東京都大田区生まれ。地元の進学校を卒業後、様々な業種を経験し、孤独死・災害現場復旧のリーディングカンパニーである「ブルークリーン」の創業に参画。これまで官公庁から五つ星ホテルまで、さまざまな取引先から依頼を受け、現場作業を実施した経験を基に、YouTubeチャンネル「BLUE CLEAN【公式】」にて特殊清掃現場のリアルを配信中!趣味はプロレス観戦
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