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太宰治の小説に描かれた「日米開戦に歓喜した主婦」戦後80年で忘れられた事実とは

明治維新から始まった独立への努力と侮辱への抵抗

 日本が明治維新を成し遂げたのは国家としての「独立自尊」を守るためでした。絶対に植民地にはなるまいとの思いからでした。そのために近代化を急ぎ、江戸時代までの文化、慣習の多くを捨て去りました。大日本帝国憲法の制定、国会開設、強大な軍隊の設立……。それらは全て欧米の独立国が備えているものばかりでした。全てが綺麗事で済んだわけでもありません。日本自身が生き残るために、朝鮮を併合し、中国の一部に軍隊を派遣し、我が国の権益を守ろうとしてきました。  何とか欧米諸国に伍して、一人前の国家として振る舞おうと努力に努力を重ねてきたのが近代日本だったのです。     しかし、結局日本は完全に対等に扱われることはありませんでした。謂れなき人種偏見、人種差別により、常に日本は苦しめられてきたのです。 ―日本を貶めるとは許せない。 ―日本が侮辱されてはならない。 ―日本人は劣等人種ではない。  多くの日本人が抱いてきた感情は、日本人にとっての「私憤」とも言うべき感情でした。  全ての人々が平等に扱われるべきだという感情が先にあったわけではありません。その証拠に、残念なことではありますが、日本人自身も、朝鮮人、中国人、黒人等を侮蔑する場合が多かったのです。しかし、排日土地法、排日移民法の成立等で日本人自身が侮辱されたとき、日本人は凄まじい憤りを感じました。そして、自らに対する侮辱を許しがたいとする「私憤」が、時を置くことなく、人種を原因とする差別そのものに対する「公憤」へと変化していったのです。

『[新版]人種差別から読み解く大東亜戦争』(扶桑社新書)


政治学者。1983年生まれ。早稲田大学政治経済学部卒業、同大学大学院政治学研究科修士課程修了。現在、一般社団法人「日本歴史探究会」代表理事。専攻は政治哲学、政治思想。保守系雑誌のほか、産経新聞に定期的にコラムを寄稿している。 著書に『政治学者が実践する 流されない読書』『エコファシズム』(有馬純氏との共著)(以上育鵬社)、『後に続くを信ず』(かや書房)、『[新版]日本人の歴史哲学』(産経新聞出版)など多数。 YouTubeで「岩田温チャンネル」配信中。
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[新版]人種差別から読み解く大東亜戦争 [新版]人種差別から読み解く大東亜戦争

戦後80年――改めて問い直す大東亜戦争の大義