ニュース

「オニツカタイガー」と「ナイキ」で分かれた明暗。中国、ヨーロッパで顕著な差が出たワケ

中国で“ナイキ離れ”が起きるワケ

 2025年1-3月のオニツカタイガーの売上高は283億円でした。そのうち中華圏は77億円で、全体のおよそ3割を占めています。日本に次いで構成比率が高いエリアで、売上は前年比で1.3倍に拡大しました。  さて、中華圏で大苦戦しているのがナイキ。2025年度は2割もの減収に見舞われました。中国のナイキ離れには複雑な事情が絡んでいます。  ナイキは労働環境を巡る懸念から、新疆ウイグル自治区をサプライチェーンから外す声明を発表したことで、2021年に不買運動に発展しました。  当時、中国のシューズメーカーであるANTAの株価が上昇しましたが、市場の反応の通り、ANTAは2021年度に2ケタの増収増益となり、飛躍的に成長します。ANTAはイタリアの老舗ブランド「FILA」を2009年に買収したメーカー。ナイキ不買運動の隙を縫ってシェアを高めました。  その後、中国ではインフレ圧力が高まり、消費者はコストパフォーマンスを重視するようになりました。ANTAやLI-NINGのような国内メーカーは消費者のニーズを丁寧に拾った一方、ブランド力に頼っていたナイキは製品力で差をつけることができませんでした。  こうした背景の中で、機能性が高く手ごろな価格で手に入るオニツカタイガーが受け入れられるようになったのでしょう。

直販比率を高める施策が裏目に

 実はナイキの不調は中華圏だけではありません。2025年度はアメリカ、ヨーロッパも減収でした。自社によるEC化を過度に進めたためだと言われています。  ナイキはコロナ禍によるデジタル化を背景として、ECサイトやアプリによる直販比率を高めようとしました。そして、小売店からの商品の引き上げを図ります。これにより、小売店の棚にはナイキ以外のスニーカーばかりが並ぶ結果となりました。  コロナが収束して小売店の勢いが増すと、競合や新興ブランドにシェアを奪われることになったのです。また、ナイキは値上げも行っており、コストパフォーマンス重視の時代にも合わなくなってきました。  オニツカタイガーはヨーロッパの売上が1.7倍に急拡大しています。ナイキの勢いが失われる中で、シェアを高めるチャンスを得たと見ることができるでしょう。7月にはパリのシャンゼリゼ通りに旗艦店をオープンしました。勢いに乗っています。
次のページ
“追い風”に乗ってシェアを高められるか
1
2
3
フリーライター。大企業から中小企業まで幅広く経営支援を行った経験を活かし、経済や金融に関連する記事を執筆中。得意領域は外食、ホテル、映画・ゲームなどエンターテインメント業界
記事一覧へ
SPA!編集部が「人生後半を賢く楽しく生きる」をテーマに厳選した記事をメルマガ会員限定で毎週金曜日にメールでお届けします。仕事・お金・性・人間関係…人生を豊かにする秘訣が見つかります。無料・10秒で完了です。
無料でメルマガ登録する⇒⇒
※登録後、メール認証が必要です。受信した認証メールをクリックして、登録を完了させてください。
※認証メールが届かない場合、迷惑メールに入っているか、メールアドレスが間違っている可能性があります。再度ご登録ください。
【関連キーワードから記事を探す】