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石破首相を「どこまでも醜い、奇妙な生き物」と表現した北村晴男氏。この一件を“個人の暴走”として矮小化してはならない理由

SNSが負の感情に対してもたらす“成功報酬”

 そしてもう一つの問題は、そうした暴力的な言動がSNSでの影響力と結びついたときの依存性です。SNSへの依存はヘロイン中毒に似ているという説もありますが、北村氏を見ているとそれもうなずけます。  その理由は、SNSが負の感情に対して大きな成功報酬をもたらす構造を持っているからです。  つまり、ある日突然北村氏は石破首相を「醜い」と言うようになったのではない、ということです。『行列ができる相談所』に出演していたころの余裕とユーモアのある語り口が、政治に関わるようになってから様変わりしてしまいました。そして、その過程にSNSが深く関与しているのです。  対立する勢力に向けた批判、罵倒、呪詛を喜ぶフォロワーが増えていき、自身の影響力の大きさに自信と快感を得る。そうした日々の繰り返しが、今回の暴言を生む温床となったのです。  当然それはワナです。フォロワーから悪口を期待され、応えようとすると、負の感情の奴隷になってしまう。瞬間的な「いいね」は、そこで立ち止まって考える余裕を奪います。するとフォロワーから承認という形だけの報酬を追い求めることになる。  北村氏のように、学識、職歴、資産、社会的地位を持つ70歳近い立派な人物であっても、なにかの拍子にこのルートに乗っかってしまうと、冷静な判断力を失ってしまうのです。  だから、今回の騒動は北村氏個人だけの問題ではありません。  SNSを上手く活用した人間が有利な選挙戦だとするならば、ゾンビのような中毒者が勝者となる。そんな危険な時代を迎えているからです。 文/石黒隆之
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音楽批評の他、スポーツ、エンタメ、政治について執筆。『新潮』『ユリイカ』等に音楽評論を寄稿。『Number』等でスポーツ取材の経験もあり。X: @TakayukiIshigu4

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