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広陵高校の部内暴力問題は“必然”だった…逆境を耐え抜くために繰り返されてきた「文化的ドーピング」という闇

「暴力根絶」のスローガンを越えて

他の強豪校のように「常在戦場」という“隠れたカリキュラム”を外に露見しないように密かに行うのと、野々村監督のように武士道本来の「常在戦場」を顕在化させて用いるのとでは、その教育的機能が大きく異なってくるはずだ。 実際、野々村監督は広陵の一件に関してスポーツ紙のインタビューで、「上級生、下級生、上手、下手なしにみんなが平等で、というのがウチのチームはできたんです。補欠だからといってレギュラーをねたまず、レギュラーもバカにせず、徹底してミーティングしてそれを実現できたチームなんです」「自慢じゃないけど、ウチのチームは野球は弱いけど、弱い子を助ける人間の集団になってます」とも語っている。 野々村監督の言を信じるならば、一見すると「軍国調」「右翼的」「時代錯誤」にも思える指導を“明示的に”行うことが、逆説的に平等で民主主義的なチームづくりにつながっている、ということになる。 今必要なのは、単なる「暴力根絶」のスローガンではなく、その背景にあるゲーム性と文化を疑い、変革の糸口を探すことだ。高校野球を影で支配してきた「(間違った意味での)常在戦場」という“隠れたカリキュラム”を可視化させた上で、新たな議論を始める勇気が求められている。
編集者・ライター。1986年、神奈川県生まれ。一橋大学社会学部社会学科卒、同大学院社会学研究科修士課程中退。批評誌「PLANETS」編集部、株式会社LIG広報を経て独立。2025年3月に初の著書となる『文化系のための野球入門 「野球部はクソ」を解剖する』(光文社新書)を刊行。現在は「Tarzan」などで身体・文化に関する取材を行いつつ、企業PRにも携わる。クラブチームExodus Baseball Club代表。
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