ニュース

裏金は6年で17億円…川崎重工と自衛隊員の長年にわたる癒着「表面化したのは氷山の一角」その呆れた実態とは

過酷な生活で物資不足にも悩まされる

 私物はともかくとして、乗組員が艦内で使用するものを要求していたのはなぜでしょうか。そこには、乗組員に対して必要なものを十分に補給できないという潜水艦ならではの問題点が潜んでいます。  乗組員が正規に物品を要望できる機会は年に2回しかありません。そして要望を出してから納品までに半年程度の時間を要することもあります。そもそも狭い艦内に持ち込めるものは少なく、限られた任務期間中に行う潜水艦の検査・修理等の実状と供給体制が合致していなかった可能性があるのです。また、予算の制約もあり、要望どおりの調達が行える保証もありませんでした。  雨具や防寒具については、潜水艦という過酷な環境の中、官品の性能に乗組員が満足していなかった可能性も高いと考えられています。  もともと潜水艦での生活は過酷なことで有名。水の使用は制限され、入浴設備はシャワーのみ。十分なプライベート空間もなく、潜水中は換気もできません。数十日の任務期間中、限られた乗組員との共同生活を強いられるのです。  高ストレスにさらされ、満足できる物品の調達もままらない中、長年の慣例に従って企業の修理担当部署に要望を出し続けていたのでしょう。

裏金は6年で17億円

 一連の不祥事が発覚したことで、防衛省は海上自衛隊のトップ斎藤聡海上幕僚長を減給10分の1の懲戒、隊員92人を訓戒や注意とする処分を発表しました。川崎重工も常務執行役員の退任、会長や社長、副社長などの役員報酬一部返上を決定しています。  川崎重工の裏金は6年で17億円だったことが明らかになっています。一方、潜水艦は巨額の取引を行っているため、請求額に物品の購入に必要な費用を乗せていたのか、会社が身銭を切っていたのかまではわかりません。  しかし、国民の自衛隊に対する不信の目は簡単に払拭できないでしょう。  2025年度の防衛費はGDP比で1.8%になっており、2024年度から0.2ポイント上昇しました。政府は2027年度に2%達成を目指しています。防衛費は増額されているのです。  増額を決めたのは岸田政権。当時は防衛費の増額には財源が欠かせないとし、増税への布石としていました。
次のページ
防衛費は過去最高の8.7兆円に
1
2
3
フリーライター。大企業から中小企業まで幅広く経営支援を行った経験を活かし、経済や金融に関連する記事を執筆中。得意領域は外食、ホテル、映画・ゲームなどエンターテインメント業界
記事一覧へ