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「永遠の部屋」から出られない恐怖…“引き寄せマニア”の編集者が南米ペルーで体験した「アヤワスカ」衝撃ルポ

•時空を超え、解離する自己

憑依の感覚がふっとおさまると、次の瞬間、私は「青黒い部屋」の中にいた。 これは視覚的なイメージというより、意識そのものがその空間に“入り込んでしまった”ような体感だった。「ただ見ている」のではなく、完全にその部屋の“中にいる”という、圧倒的なリアリティがあった。 部屋の片隅には、涅槃像のような体勢で寝そべりながら、砂嵐のテレビをぼんやりと眺めている男がいた。肘に頭を乗せ、どこか僧侶のような雰囲気をまとったその男。 私はその男でもあり、同時にその男を見つめているもう一人の“私”でもある――そんな不思議な解離状態に陥っていた。先ほどの“憑依”とはまた異なり、この男はまるで自分のもう一つの人格、あるいは深層意識のどこかに長年潜んでいた自分自身のように感じられた。 そして気づいたときには、私は何年、いや何十年もこの部屋から出られずにいた。ただただ青黒い空間の中で、無言のまま、あの男として時間が過ぎていく。感覚的には、50年ほどそこに閉じ込められていたように思う。 「もう少し我慢すれば、出られるかもしれない」そう思って耐えようとした。だが、ある瞬間、ふいに確信してしまったのだ。この部屋は「永遠の部屋」なのだ、と。もう一生、ここから出ることはできないと。 そのとき、私の精神はついに耐え切れず、崩壊し、発狂した。 「ごめんなさい、ごめんなさい、許してください! お父さんお母さんごめんなさい! アヤワスカなんてやってしまったから、もう会えません。私は馬鹿なことをしました、ごめんなさい! もう二度と、人間界には戻れません、ここで何千年も過ごさなければいけないことになりました。どうか夢だと言ってください、終わってください!」と、パニックになって泣き叫んでいた。 さらに、見習いシャーマンのタクマさんに泣きついて、「嘘ですよね、永遠なんてないですよね、どこかで終わると言ってくれ〜‼ 嘘だ嘘だ〜!」と狂ったように絶叫し続けた。この時は、永遠の部屋にいる自分と、現実にいる自分がまたも分裂している状態だった。 しかしそのとき、タクマさんが落ち着いた様子で、私の顔に煙や香水のようなものを吹きかけてくれた。すると、不思議なことに、あれほど出口がないと思っていた「永遠の部屋」から、少しずつ意識が引き戻されていく感覚が訪れ、やがて発作のような状態はおさまっていった。 そのときの安堵感といったら、言葉にできない。 50年間も部屋にいたので、なぜか妙に冷静に鏡を確認したい衝動にかられた(が、鏡はなかった)。 そして周囲に目を向けると、今度は別の異変が起きていた。なんと、大量の幽霊たちが、私の布団のまわりをぐるりと囲むようにして、じっと座っていたのだ。

儀式の後、ペルーで筆者が描いていたスケッチ

•霊との対話

それは、老若男女さまざまな日本人の霊たちだった。 「この人たちは、一体誰なんだろう?」と戸惑っていると、ふいに儀式のシャーマンの歌に、日本語が混じり始めた。 「コックリさん♪ あなたに呼ばれたコックリさん♪ ううー、悲しい。グスッ、グスッ、グスッ」 シャーマンは、まるで嘆くように、涙をこらえるような声で、そう繰り返し歌っていた。 私は思わず聞き返した。「今、コックリさんって言いましたよね? それって一体……?」 その瞬間、言葉ではない、“パーン”という衝撃のような形で、メッセージが頭に飛び込んできた。 「あなたが降霊術をしたときに、降りてきた霊です」 気がつくと、あれほどはっきりといたはずの霊たちの姿は消え、ただ言葉だけが、脳内に直接響いていた。 私はすぐに思い当たった。かつて、幽霊がよく出ることで有名な心霊スポット「ヨコザワプロダクション」で何度もコックリさんを行い、その様子を撮影して映画にしていたことを。あのときの霊たちだったのだ。 彼らは、静かに、しかし強い感情を込めてこう語りかけてきた。 「今日、東京では映画の公開に際して、あなたのスタッフが神社でお祓いをしていました。その行動に、私たちは理不尽さを感じています。あなたがたが降霊術で呼び出したのに、感謝もされずに、即お祓いですか? 失礼すぎやしませんか?」 (※お祓いに行くことは聞いていたが、この日に行っていたとは知らず、後に霊の証言と日付が一致していることを確認した) その瞬間、霊たちが抱える怒り、悲しみ、無下にされた悔しさが、一気に私の心に流れ込んできた。圧倒されると同時に、涙がとめどなくあふれてきた。 私は、心の底から申し訳ないと思った。 「ごめんなさい……本当にごめんなさい。コックリさんで降りてきてくださって、映画にまで協力していただいたのに、感謝もせずにお祓いなんて……。エンドロールに、皆さんのお名前をクレジットすべきでした。私は間違っていました」 私は布団の上で、何度も何度も土下座しながら、1~2時間にわたって泣き続けた。思いを残してこの世を漂っていた霊たちの心を弄んでしまったことを、心から悔いた。彼らは、確かに幽霊だった。でも、その前に「かつてこの世を生きた人間」だったことを、私は忘れていた。 死んでなお心を持ち、意志を持ち、そしてたぶん、生きている人間よりもずっと多くの「悲しみ」を抱えている――そんな存在なのだと、私はようやく理解した。だからこそ、敏感で深く傷つきやすいのだ。 夜が明ける頃、霊たちは静かに去っていった。こうして、私にとって最初のアヤワスカの儀式が終わったのだった。

儀式の後、ペルーで筆者が描いていたスケッチ


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