仕事

アナウンサー志望の女子大生が、浅草で人力車を引く仕事に就いたワケ。150kgの男性を乗せた経験も

夏は一番やりがいを感じる季節

関森ありささん

関森さんは信号待ちのときでさえ、笑顔で乗客と会話を交わす。そうした細やかな心配りが、観光客を楽しませ、人気を集める理由になっているのだろう

——年々、夏の暑さは厳しくなっていると思いますが、やはり夏のお仕事は過酷ですか? 関森:そうですね、暑さは年々増していると感じます。冷却スプレーや塩分タブレットなど、熱中症対策は欠かせません。今年は9月に入ってからも、まだまだ暑くなりそうですよね。 ——体力的な負担も大きいのではないでしょうか。 関森:正直に言うと、私は夏が一番やりがいを感じる季節なんです。春は桜、秋は紅葉と、景色が主役になることが多いですが、夏は車夫の個性が一番出せる季節だと思っています。汗を流して一生懸命ご案内する姿を見て、お客様が心を動かされる瞬間が一番多いのが夏なんです。 ——お客様の反応が違うのですね。 関森:はい。以前、お客様から「女性が汗水たらして頑張っている姿を見て、自分も頑張ろうと思った」と言ってくださったことがありました。そういう言葉をいただけると、本当に嬉しいですね。たくさん汗をかいた分、お客様の笑顔もたくさん見られる。だから私は夏が好きなんです。 ——お客さんにとっても、夏の人力車は気持ちが良いものなのでしょうか。 関森:はい。人力車には屋根がついていますし、私が走れば走るほど風が生まれるので、歩いて観光するより涼しくて気持ちいいと思いますよ。

「誰かの思い出に残り続ける」仕事の魅力

——関森さんご自身も、人力車に乗られた経験があるそうですね。 関森:小学3年生の夏、祖父と北海道で初めて人力車に乗りました。そのときの車夫の方が汗をかきながら一生懸命案内してくれた姿が、18年以上経った今でも思い出に残っているんです。 ——その時の体験が、今の仕事に繋がっているのですね。 関森:そうですね。人力車の仕事は基本的に「一期一会」です。その日、その時しか会えないお客様もたくさんいます。だからこそ、ご案内する30分や1時間が、お客様の人生にとって、いつまでも残り続ける宝物のような思い出になってほしいと常に願っています。 ——素敵な考え方ですね。 関森:誰かの人生の思い出を残せること。それがこの仕事の最大の魅力だと思います。8年間続けていると、6〜7年前に修学旅行で乗ってくれた子が「お姉さんがいたから、また乗りに来ました」と訪ねてきてくれることもあるんです。覚えていてくれたんだ、と思うと本当に嬉しいですね。 ——では最後に、これから車夫を目指す方や、後輩たちに伝えたいことはありますか? 関森:私が指導している子たちにいつも言うのは、「人のために何かをできる人になってほしい」ということです。そして、私たちが走らせていただいている浅草の街を愛し、街の人々に感謝すること。その気持ちがあれば、お客様にも伝わるはずです。自分たちが作った思い出が、何年後も誰かの心に残り続ける。そんな素敵な仕事なのだということを、忘れないでほしいですね。 取材・文/セールス森田
Web編集者兼ライター。フリーライター・動画編集者を経て、現在は日刊SPA!編集・インタビュー記事の執筆を中心に活動中。全国各地の取材に出向くフットワークの軽さがセールスポイント
X(旧Twitter) salesmorita32
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