「女子御三家出身」の娘が風俗嬢に…驚きつつも“応援する”父親を直撃。大企業勤務のエリートが甲斐甲斐しいサポートを続けるワケ
現役風俗嬢でライターの箱崎ワカナさんが執筆したnote記事が話題になっている。タイトルは「父親に風俗嬢だとカミングアウトしたら、予想外の反応が返ってきた」。ワカナさんは中学受験を経て女子御三家を卒業した才媛。彼女が性風俗産業に従事するまでの顛末は、昨年10月に筆者が別稿に記した通りだが、この時点ではまだ家族の誰も性風俗店勤務を知らなかったという。
一方、カミングアウトをされた父親もまた、国立大学を卒業し“誰もが知る大企業”で活躍する現役のエリートだ。超難関校を経て風俗に勤務しているという娘の告白を、彼はどのように受け止めたのか。ワカナさんの父親本人から直接話を聞いた。
――noteにも描かれてはいますが、改めてワカナさんからカミングアウトされたときのことを教えてください。
ワカナ父:ワカナから打ち明けられたのは、今年の6月1日のことです。場所は昔から家族で行っている和食屋さんでした。その少し前、5月下旬あたりに、「おりいって話がある」と告げられました。その後、次女だけが呼び出されて、ワカナと話をしたはずです。次女は私たち夫婦と同居していますが、もちろんワカナとの約束を守って何も言いませんでした。話の内容が気になりつつも、次女が何も言わないということは、犯罪などの人間として誤った行動をしているわけではないのだろうと思いました。
当日は、最初に「話を遮らずに聞いてほしい」とワカナから言われていたため、“話”の核心に驚きもありましたが、彼女の話に耳を傾けることにしました。
――非常に理性的な対応ですね。娘が風俗嬢であることについて、率直にどう感じましたか。
ワカナ父:もちろん、最初は衝撃を受けました。しかしすぐに、自分は娘がやっている風俗というものについて全く無知であることに気が付きました。正直な話、私はこれまで生きてきて、性風俗店に行ったことが一度もないのです。もちろん、それでも風俗に対するイメージがあります。ただそれらは、裏に反社会的組織がいるのではないかとか、ドラッグをしている子が多いとか、ホストに貢ぐためにやっているとか、そういう古典的なバイアスによるものです。ワカナからの説明を聞いて、そういうもののためにやっているわけではないことを知り、自分のイメージが間違っていたことが理解できました。同時に、彼女が風俗業界で生き生きと働いていることを知って、肯定的に捉えられるようになりました。
――柔軟な発想で素晴らしいと思う一方で、誰もができることではないとも思います。
ワカナ父:友人の存在も大きいと思います。私は昔から株式投資をやっていて、情報交換をする仲間が複数いるのですが、そのなかに元風俗嬢の女性がいます。努力家であり、非常に勉強熱心な女性で、人間としてリスペクトをしています。ステレオタイプな風俗嬢のイメージがあるなかで、彼女のような人もいることを知っていたのは、私のなかで偏見に凝り固まらずに判断できた理由かもしれません。
――お父様は現在、将来的に文章で身を立てようとするワカナさんのnoteを校正されたり、SNSにアップするための写真の画像処理などもされていると伺いました。カミングアウトの衝撃から、積極的な応援をされるまでの心境の変化を教えてください。
ワカナ父:一言で言えば、彼女を応援したいという気持ちによるものです。通常の場合、親は先に死んでしまいますから、極論かもしれませんが、親が子どもにしてやれることはお金を残すことで応援することくらいだと思っているんです。
私は気になったことは全部聞くタチで、ワカナの仕事についても細かく聞きましたし、彼女もすべて開示してくれました。初めて知ったのですが、風俗嬢がSNSで使用する写真にかかる費用のほとんどが自己負担なんですね。少しでもそうした支出を抑えられるように、私が持っている技術を彼女のために使ってもらえるならと手伝いをしている形です。
※ワカナさんのカミングアウトをめぐる家庭内の反応は父親だけではない。母親、妹といった家族の心情にも複雑なものが渦巻いている。それぞれの立場から見た「家族」と「選択」の在り方とはどのようなものだったのだろうか。有料記事後編では、母親の反応や、家族全体の関係性についてさらに掘り下げていく。(残り:1401文字)
ライター、エッセイスト。可視化されにくいマイノリティに寄り添い、活字化することをライフワークとする。『潮』『サンデー毎日』『週刊金曜日』などでも執筆中。Twitter:@kuroshimaaki

ワカナさんの父


