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「辞めたいと思った時期も…」引退を考えた麻生久美子(47)が『時効警察』で救われた“意外な理由”

『カンゾー先生』で高い評価も「自信のないままだった」

麻生久美子さん——もともと子ども時代の夢はアイドルだったそうですね。 麻生:そうです。 ——それが10代のときに映画デビューされて、1998年の『カンゾー先生』で一気に評価されました。その後、ずっと活躍されていますが、辞めたいと思う瞬間はありましたか? 麻生:よくお話していることになってしまいますが、25歳~26歳の頃に、辞めたいと思った時期がありました。その頃、自分の芝居が好きだと思えなくて、そんな思いでしているお芝居を皆さんに見ていただくなんて失礼なんじゃないかなと……。もちろん一生懸命にはやっていましたが、どこかモヤモヤしていて、「このまま続けていても」と思っていました。そんなときに、『時効警察』(2006年・テレビ朝日系)という作品に出会って変わったんです。 ——「自分の芝居が好きじゃなかった」というのは、『カンゾー先生』で急に大きな評価を得たことも、プレッシャーになったのでしょうか。 麻生:あの評価に関しては、すべて今村昌平監督のおかげです。作品への評価であって、自分への正当な評価だとはもともと思っていません。当時も「もっとちゃんとお芝居できたらよかった」と後悔のほうが大きくて、賞をいただけるような芝居なんてできていないと思っていました。 ——しかし多くの賞にも輝きました。最優秀助演女優賞、新人俳優賞を受賞した、日本アカデミー賞受賞式のときのことなどは、覚えていますか? 麻生:舞い上がっちゃってますし、よくわかりませんでした。急にいろんな賞をいただいたり、取材してもらったり。でも自信はないままでした。「なんでもっとできなかったんだろう」という気持ちのまま、悶々としていましたね。

『時効警察』との出会いで心境が変化

——30代から下くらいの世代ですと、麻生さんに俳優を辞めたい時期があったことや、麻生さんが『時効警察』で初めてコメディ演技に挑戦したことを、想像できない人も多くなっている気がします。 麻生:そうなんですかね。確かに『時効警察』の印象が強いとは言われるので、そうなのかもしれません。私自身は、本当にあの作品に救ってもらいました。 ——それまでは何にモヤモヤして、苦しんでいたのでしょうか。役柄の幅が狭いと感じていたとか? 麻生:簡単に言えばそういうことになりますかね。やっぱり幅があるほうが面白いじゃないですか。『時効警察』までは、幅がなかったんですよね。イメージが付いていたというか。でも今思えば、自分の捉え方もそうなっていたのかもしれません。表現の幅が狭すぎたというか、自分でも狭くしていたのかもしれない。「この役も、もっとこう表現してもいいんじゃないか」みたいなところを、自分で同じところに持っていっていたのかもしれません。それで「いつもこういう芝居をしていても……」とモヤモヤしていってしまった感じです。 ——そんなときに全く違う作品、役どころをやって。 麻生:救われました。自分がやったことのないコメディというジャンルと、その難しさが面白くて、知らない世界がいっぱいありました。「こんなに難しいんだ。やりがいがあるな」と感じましたね。
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プライベートなことは過剰に発信したくない
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ケーブルテレビガイド誌の編集を経てフリーランスに。映画周辺のインタビュー取材を軸に、テレビドラマや芝居など、エンタメ系の記事を雑誌やWEBに執筆している。親類縁者で唯一の映画好きとして育った突然変異。X(旧Twitter):@mochi_fumi

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