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【Facebook“突然の友達申請”に注意】AI詐欺師と“1か月弱やりとり”したピアニストが語る最新手口。「障害ある娘を持つ父親同士」という“絆”を悪用

音信不通になったあとに届いたメッセージが…

――実際に「詐欺だな」と確信したきっかけは何でしょうか。 DAKOKU:やり取りを続けて3週間以上経過したころ、突然「もう連絡が取れなくなるかもしれない」とメッセージが来ました。「どうしたのですか」と書いてみても、返信がありません。既読もついていませんでした。戦地にいるため、心配をしますよね。その後、2日ほどして連絡が来て「いま、テロリストから攻撃を受けている。無事を祈ってほしい」という内容でした。そしてまた、音信不通です。 ――緊張感がありますね。 DAKOKU:その後、さらに数日してからメッセージがきたんです。内容を端的に言うと、「テントは攻撃されていて、他のところは死者も出ている。自分は現在は無事だがどうなるかわからない。娘のためのお金をテントに保管してるが、テロリストに殺されてしまっては意味がない。ついてはあなたに送金したいので、振込先や実名を教えてほしい」という内容でした。このメッセージを受け取って、「これまでのことはやはり全部ウソなのではないか」と我に返ったんです。

「700万ドル」を送金すると言われ、我に返る

  ――やはり? DAKOKU:正直に言うと、100%信じていたわけではありませんでした。送られてくるテントのなかの写真はやけに綺麗だし、料理をしている女性兵士の動画も素材っぽいというか……。ただ、絆のようなものが生まれていたので、半分は信じたい気持ちもあったんです。なにより送金するという金額が700万ドルというから驚きました。日本円で10億近いでしょう。真実味がありません。 ――それでその後はやり取りはしていないんでしょうか。 DAKOKU:「お金のことよりもあなたの命が心配だ」と送ってみると、「それはそうだけれども、このままテロリストにお金を奪われたら死んでも死にきれない」と言うんです。しばらく無視をしていたら、「?」だけ30件くらい飛んできたり、「銀行名:」というフォーマットみたいなのが送信されてきたりして、ブロックしました。 ――豹変しましたね(笑)。しかしそのあとの展開も気になります。 DAKOKU:ブロックしてしまったのでわかりませんが、おそらく「振り込むためには手付金が必要なので、こちらに振り込んでくれ」みたいな感じなのでしょうか。そういう古典的な詐欺があるとは耳にしますよね。
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AIは「機械なのに機械的ではないなと思った」
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