仕事

35歳~50代サラリーマンの年収が激減中。見落とされている原因とは…氷河期世代や景気だけではない

年功給は、働く人にとって幸せなのか

江夏:定年延長以外にもいくつか要因があり、その主なものの一つに、いわゆる「成果主義」があります。 もともと日本の賃金は、労働者それぞれの右肩上がり傾向の強さを、人事評価で調整してきました。能力や年齢に着目した賃金は年々の積み上げが基本ですが、成果については年毎でのアップダウンがあります。能力や年齢に着目した従来の体系に、成果の評価、成果への支払いがアドオンされたわけです。
江夏先生と海老原氏

江夏氏(右)と海老原氏

海老原:なぜ日本は、ベースとなる年功給から脱せないんでしょうか。 江夏:「社員の生活の面倒を見るのは企業の義務だ」という前提が今もあるんでしょうね。年齢が上がるほど生活にお金がかかるから、年収も上げる。「生活の面倒を見てくれる企業の命令に、社員は従う義務がある」というような、労使の交換関係です。 海老原:それって、“男型社会”が基本にあるからだと、僕は思う。 江夏:そうなんです。

欧米の“右肩上がり給与”とは中身が違う

海老原:年齢と共に、食わせなきゃならない家族が増えるから、大黒柱の男の給与を増やしてやる、っていう話でしょ。でも、もし女性がもっと働きやすくなれば、結婚した瞬間に二馬力になって世帯年収2倍になるから、もう年功給なんて必要なくなるじゃないですか。年功給って、古い性別役割の残滓だと僕は思ってるんです。 江夏:「いつでも、どこでも、なんでもやります」が一馬力の働き方だったので、二馬力にするとなると女性も男性も働き方を変えないといけませんよね。 ひとつ補足しておくと、給与が右肩上がりなのはどの国でもそうです。日本はその右肩上がりカーブが強い傾向にある。 海老原:いや、ちょっと待ってください。欧米も平均を取れば右肩上がりカーブだけど、その中身は全然違う。一部のエリートは年齢と共に年収4倍とかになって、それ以外の人は年収が横ばい。30代から、仕事の中身も給与もほとんど変わらない人が、たくさんいるじゃないですか。 江夏:そう。そうです。 海老原:日本企業も、そうしたらいいと思うんですよ。ずっと同じ仕事で、出世しなくてもいい、給与が上がらなくてもいい、という正社員のコースを作る。そうすれば、正社員同士の夫婦でも、育児や介護ができるでしょう。今の日本企業は、正社員なら全員出世を目指して頑張らなきゃいけない。
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「週3日勤務の正社員」はなぜできない?
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「就職氷河期世代論」のウソ

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