更新日:2025年09月12日 12:46
デジタル

新型iPhoneが登場も、買い替えを躊躇してしまう“ふたつの理由”。薄型・軽量で高性能だけど…

人間の手は大きくならない

 かつてのスマートフォンは、片手でも操作できるように設計されていた。  Retinaディスプレイで人気が沸騰したiPhone 4(2010年)は、横幅58.6mmで持ちやすく、仕事の合間に「なめこ」を抜くのも爽快だった。iPhone 5(2012年)では画面が縦長になり、タッチパネルの一番上に親指が届きにくくなったが、それでも大きな支障はなかった。
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『ドラクエウォーク』プレイ中に手から落下し、無惨にもバキバキな姿になってしまったiPhone 6S

 しかしiPhone 6(2014年)になると、横幅が67.0mmになり、片手での操作がツラくなり始める。丸みを帯びた筐体デザインの影響から、手のひらを滑り落ちる事故が続出し、“スマホバキバキ”という言葉が世間に広まった。  その後もiPhoneは巨大化を進め、現行モデルにおける最小サイズは横幅71.5mmだ。対して、人間の手は大きくならないから、何か特別な工夫をする必要が生じる。そういうわけで、少なくないiPhoneユーザーがスマホの背面にリングを取り付けて、親指に長い旅をさせているが、その様子はまったくスマートではない。  もっとも、小型にこだわるのは日本ユーザーの特徴で、他国では「スマホは両手で使うもの」と割り切っているようだ。  というのも、日本語には便利なフリック入力があり、片手でも問題なくメッセージを送信できるが、欧米人はQWERTYキーボードを使うため、自然と両手を使うことになるし、タッチパネルが小さいと打ちにくいのだという。  そんな事情と、他にはバッテリー容量の問題によって、日本以外の市場で小型モデルは販売不振となり、ラインナップから姿を消してしまった。まことに残念でならない。

メシかスマホでスマホは選べない

 毎度のことながら、一番気になるのは価格である。
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やはり価格は高止まり。いつか再び日本円が価値を取り戻せば、iPhoneを気軽に買える日が戻って来るかも!?

 iPhone 17のエントリーモデルの価格は129800円。昨年のiPhone 16のデビュー価格が124800円だったので、値上げ幅は5000円となる。このほか、iPhone Airは159800円から、iPhone 17 Proは179800円から、iPhone 17 Pro Maxは194800円からという、ゴージャスな価格設定がなされている。  アメリカでは、iPhone 16とiPhone 17のデビュー価格がともに799ドルで、お値段据え置きだとわかる。トランプ関税の影響で値上げされるとの事前予想もあったが、ひとまずはAppleの企業努力が勝った形だ。
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「軽さ」「薄さ」を求めるのであればiPhone Airは最高の端末だが、「持ちやすさ」の希望には応えられず

 とはいえ、低賃金と米価高騰に喘ぐ日本人にとっては、やはり今のiPhoneは高すぎる。2022年からのひどい円安は終わる気配を見せないし、頼みの綱だったiPhone SEも終売となってしまった。  それでも実際のところ、新型iPhoneの“賢い買い方”はいくつかある。Apple製品の中古価格は高止まりしがちなので、あえて高価なニューモデルを買い、数年使った後で中古品として売るというテクニックは有名だし、キャリアが提供する各種ローンを使うのも手だ。どうしてもiPhone 17やiPhone Airが必要な場合、買い方を工夫してみよう。
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トランプ大統領のご機嫌取りに必死だとも報じられている、苦労人のティム・クックCEO。海の向こうも悪い時代のようだ

 新型iPhoneは高嶺の花……という観念がすっかり定着してしまった令和のスマホ市場だが、それでも6割の日本人は、どうにかしてiPhoneを使い続けている。やせ我慢にさえ見えるこの状況が、いったいいつまで続くのだろうか。 <TEXT/ジャンヤー宇都>
「平成時代の子ども文化」全般を愛するフリーライター。単著に『多摩あるある』と『オタサーの姫 〜オタク過密時代の植生学〜』(ともにTOブックス)ほか雑誌・MOOKなどに執筆
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