「この鹿はボクが殺した、けど……」横たわる鹿を前に子どもたちに伝えたい命の教育/東出昌大
これほど人間らしい生き方をしている人はいないのではないだろうか。現在、猟師免許を持ち、北関東の山間部で狩猟生活をしながら役者業をしている現役ハンターの東出昌大が実体験をもとに綴るSPA!の人気連載を公開。山での生活を送る東出昌大のもとに、夏休み子どもたちが遊びに来たときの話について3回にわけて述べていく、今回はその2回目だ。(以下、東出昌大氏による寄稿)
キャンプにやってきた友人の子らが狩猟に行きたいと言う。狩猟は命を奪う行為だと勿論子供も分かっているが、それでもと言うならば、と朝から皆で山に向った。
入山後、15分とかからずに鹿を見つけ、銃弾を放つ。鹿が立っていた所に駆けつけて地面を見回すと、昨夜の雨で湿り気を帯びた落ち葉の上にピンク色の泡立った鮮血が数滴落ちていた。弾は肺に入っている。これが下腹部の消化器官だと血はドス黒い。馴れない山の斜面を必死に走って私に追い付いた子供達に下知(げじ)を飛ばす。
「ボクは左を探す! 君達は右を探して!」
血の具合から致命傷を確信し、数十m先で倒れていると予想する。私が進んだ左手は上りが続くなだらかな広い谷。血痕は無く、遠くに倒れる死骸も無い。この時期の夏毛の鹿は、鬱蒼とした緑の中では燃えるような小麦色に見える。
1988年、埼玉県生まれ。’04年「第19回メンズノンノ専属モデルオーディション」でグランプリを獲得。’12年、映画『桐島、部活やめるってよ』で俳優デビュー。現在は北関東の山間部で狩猟生活をしながら役者業をしている

東出昌大


