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サッカー日本代表、米遠征で1分1敗の残念な結果に…森保監督の「目的と手段を履き違えた蛮行」とは?ワールドカップ優勝への道筋に疑問符

残念ながら「妥当性のない実験」になってしまった

 もう1つの戦術のオプションをつくるという点についても、基本的には賛同している。先述のとおり、今回のワールドカップで優勝するには異なる相手に8回勝たなければならない。日本代表の現状を踏まえると、格上格下どちらも相手になり、さらにはボール保持を得意とするチームとの戦いもあれば、ロングボールを主体とするチームとの戦いもあるだろう。要するにさまざまなチームを相手にすることが想定されるので、どんな相手にも合わせられる戦術を実行できるように準備をしておきたい。  現状の日本代表はフォーメーションを変えることで戦術を変えようと取り組んでいるところだ。使い慣れた3バックを主軸にして、4バック下で行う戦術をオプションとしたい意図は、森保監督のコメントからも汲み取れる。  今回は、ワールドカップ常連の相手に4バックでの戦術が通用するのかを検証したのだが、前提となる“制御すべき条件”を自ら大幅に変えてしまっているため、まったく妥当性のない実験になってしまった。

主力ではない選手で“実験した意図”がわからない

 森保監督は、4バックでの戦術を「オプション」と表現しており、標準装備に付加されるものということを意味している。その標準装備とはこれまで多用してきた3バックのフォーメーション時に行ってきた戦術だ。けれども、主力メンバーを主体して試さなければ通用するかどうかの検証にはなりえない。  今回の遠征であらためて周知の事実となったが、今の日本代表は主力と呼ばれる10数名とその他の候補選手では実力差が大きい。レベルの劣るメンバー主体でオプションの実験をしても、その結果からは何も得られない。ただ、森保監督は「メンバーが変われば戦術も変わる」と言い続けてきたので、ひょっとすると4バックで行おうとしている戦術では、アメリカ戦でのメンバーを主体として考えているのかもしれない。仮にそうであったとしても、それが勝てる確率を上げられるオプションになるとは考えられないが、“思うこと”がなんらかのバイアスに繋がる可能性もあるので、これ以上の言及は避けようと思う。  話を戻すと、アメリカ戦しかり、森保監督はそのオプションを1試合のなかで使い分けできるようにしたいと考えている。前回大会の成功体験が基にはなっているのだろうが、実際に試合中に大きく戦術を変えられて、それに対応できるチームは世界を見渡してもそうあるものではない。逆にいえば、複数の戦術を状況などに応じて使い分けられれば、勝てる可能性を上げられる。そういった事象をベースに今回の仮説が立てられたことは容易に想像できる。  戦術を変更する方法として選手交代という手段はあるが、現状のルールでは基本的に1試合に3回で5人までとなっている。戦術を変える術が選手交代という方法だけでは、1試合に3回までしかその機会はないし、半数は試合開始時と同じメンバーで実行しなければならない。つまりスタメンの主力も準備しておく必要があるわけだ。
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スポーツライター。日本最大級だったサッカーの有料メディアを有するIT企業で、コンテンツ制作を行いスポーツ業界と関わり始める。そのなかで有名海外クラブとのビジネス立ち上げなどに関わる。その後サッカー専門誌「ストライカーDX」編集部を経て、独立。現在はサッカーを中心にスポーツコンテンツ制作に携わる
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