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「広陵野球部暴力事件」で露呈した“メディアの姿勢”に違和感。問われる“報道の優先順位”

「野球利権」批判に反応した媒体、黙殺した媒体

拙著『文化系のための野球入門 「野球部はクソ」を解剖する』では、先に述べたメディア企業と野球との距離感を批判的に考察している。興味深いのは、各社の反応だ。産経新聞は本書の発売後すぐに書評を掲載したが、朝日・毎日・読売は今なお何も言及しておらず、自社の報道姿勢や事業への批判に対して、「オープンな場で議論する」という姿勢は今のところ見られない。 なお拙著は株式会社文藝春秋が発行するスポーツ誌『Number』に対しても批判的に言及しているが、同社の運営するWebメディア『文春オンライン』では本書の内容が紹介され、YouTubeチャンネル『文藝春秋PLUS』でも、広陵問題で私がゲストとして招かれた。文藝春秋社は自社刊行物に対して批判的なことを書いている人間ですら必要とあれば呼び、議論する姿勢を見せたのである。 一般に「議論に対してオープンなのは保守よりもリベラル」というイメージがあるが、この問題にかぎっていえば、ふだん「保守」とされるメディア企業のほうがオープンであり、「リベラル」のほうがむしろ保守的であると言わざるを得ない。 この構造は筆者が’23年に故・ジャニー喜多川氏による性加害問題が持ち上がった際のメディアの反応を思い起こさせた。当初、多くのマスメディアはこの問題を積極的に報道できなかった。広陵の問題でも、朝日や毎日といったリベラルメディアは自社事業である「甲子園野球」のあり方そのものを自らの紙面で徹底的に問い直すことはしていない。 一方、ジャニーズや高校野球の問題を積極的に追求してきた『週刊文春』の報道姿勢はスキャンダルジャーナリズムとみなされることもある。しかし少なくとも彼らは「ハードなテーマは重視するが、ジャニーズや高校野球の暴力などエンタメ・スポーツ分野は軽視する」という姿勢は取っていない。
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リベラルメディアが高校野球の不祥事をスルーする理由
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編集者・ライター。1986年、神奈川県生まれ。一橋大学社会学部社会学科卒、同大学院社会学研究科修士課程中退。批評誌「PLANETS」編集部、株式会社LIG広報を経て独立。2025年3月に初の著書となる『文化系のための野球入門 「野球部はクソ」を解剖する』(光文社新書)を刊行。現在は「Tarzan」などで身体・文化に関する取材を行いつつ、企業PRにも携わる。クラブチームExodus Baseball Club代表。
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