週刊SPA!主催の新人発掘オーディションを勝ち抜いた「ミスSPA!2024」たちによる、連載「ベストサウナ」。第63回は『HAMANOYU えど遊』をレポートする。 ●今回のサウナー・ミスSPA!2024 グランプリ 三田のえちゃん ’02年、栃木県生まれ。T151 B80 W55 H84。2nd DVD『あの日見た僕だけの笑顔』が発売中。熱波師資格所持 　今年4月、日本橋浜町の一角に静かに誕生した「HAMANOYU えど遊」。両国の人気温浴施設「両国湯屋 江戸遊」の姉妹店としてオープンしたこの施設は、下町の風情とモダンな快適さを融合させた、小型ながらも完成度の高い温浴空間である。 　コンセプトは「身近なお風呂」。近所の銭湯にふらりと立ち寄るような気軽さがある一方で、サウナ設備や内装には随所にこだわりが光る。明るく清潔感のある浴室には、男女それぞれに2種類のサウナを完備。特にメインとなるフィンランドサウナは、約90℃の設定温度と30分おきのオートロウリュにより、軽やかな木の香りの中にもしっかりと熱さを感じることができる。オートロウリュ前後で体感温度の変化がけっこうあるため、タイミングを見極めながら、自分好みのセッティングを楽しむのもよいだろう。 　男性浴室に設置されたより小ぶりなセルフロウリュサウナは、定員4人ほどの広さ故に深い没入感を生む空間。女性側には、よもぎの香りが広がるスチームサウナと、高濃度炭酸泉を用意するなど、ニーズに合わせた設備構成も心にくい。 　お風呂にもこだわりが光る。メイン浴槽には定期的に内容が切り替わる人工温泉を導入し、全国各地の名湯の泉質を楽しめるほか、水風呂は奥に行くほど深くなる2段構造になっており、全身がしっかりと冷やされる考え尽くされた設計になっている。 　ととのいスペースには、壁の向こうに開かれた窓から自然の風が通り抜け、木のぬくもりと相まって外気浴のような解放感を味わえる。住宅街の真ん中にありながらも、静かで落ち着いた空気感があるのは、浜町という土地柄に加え、施設の丁寧な設計によるものだろう。また、1階にはこだわりの豆を使ったコーヒーやアルコールを提供する「湯CAFÉ」も併設され、湯上がりのひとときをゆるやかに演出してくれる。 　利用料金は1500円で時間無制限とお手頃だが、機能性や施設の規模感を考えると、通勤や遊びの合間に“サクッとひと風呂”が用途としてちょうどよさそうだ。銭湯文化が根づく江戸っ子エリアにふさわしい、日常の中にあるサウナの確かなブラッシュアップ。下町情緒あふれる中央区の新たな温浴ランドマークとして、これからますます地域で愛されていくことだろう。
＜取材・文／森野広明　撮影／日暮翔＞