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“繁華街で食べられない”山岡家が絶好調。「町田商店」「丸源ラーメン」をも圧倒する集客力のワケ

毎週配信のクーポンがお得感を演出

 山岡家のアプリではランクに応じた毎月クーポンを配信していましたが、2025年2月から毎週配信に切り替えました。2025年1月のクーポンの利用率は2割ほどでしたが、毎週配信に切り替えた直近8月の利用率はおよそ5割に達しています。既存店の客数が2割もアップしたことを考えると、クーポン利用を目的とした来店が加速したと見て間違いないでしょう。  インフレというタイミングで、価格によるお得感を打ち出した山岡家の戦略は巧みでした。消費者は値上げ疲れをしていたからです。  市場調査を手がけるアスマークは「ラーメンに対する価格受容性調査」を行っています。それによると、味重視のチェーン店の理想価格は724円。上限価格で794円でした。  山岡家人気の限定メニューである「プレミアム醤油とんこつ」は、2018年の価格が860円でしたが、2024年は950円まで上がっています。2023年に880円だった「焦がし醤油ラーメン」も今年は940円で提供しました。  醤油や味噌、塩ラーメンは690円で出しているものの、チャーシュー麺になれば1000円近くまで上がります。

20代男性の消費者心理を巧みに利用

 アスマークは値上がりが来店頻度に影響する度合いも調べており、20代の男性で「値上がりしたら、食べる頻度は少し減ると思う」と感じている比率は58.7%で、男性の全世代の中で最も高くなりました。  山岡家のアプリの利用者は20代男性が32万9000で全体の2割以上を占めており、最も多くなっています。  アスマークの調査において20代の男性が「少し減る」と回答していることがポイント。ラーメンが好きで店に足を運びたいものの、値段が高いので躊躇ってしまうという消費者心理を見て取ることができるからです。山岡家の毎週クーポンという施策は、若者が持つ心の葛藤に上手く作用したのでしょう。  なお、山岡家の既存店の客単価は、クーポン施策を始める前の2025年1月が101.3%、施策実施後の2月が101.9%、直近8月が102.7%でした。  客単価は下がっていません。巧みに価格もコントロールしています。
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「リピーター向けの経営」が功を奏す
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フリーライター。大企業から中小企業まで幅広く経営支援を行った経験を活かし、経済や金融に関連する記事を執筆中。得意領域は外食、ホテル、映画・ゲームなどエンターテインメント業界
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