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1セット4000円の安キャバクラに通う中年男性が暴走する理由「“負けを取り返したい”が強すぎる」

おじさんの奇行を間近で見られるのも安キャバの醍醐味

 当時の私はというと、離婚したばかりで、住む家も定職もなく(定職を持たないのは今もあまり変わりはないのですが)、とにかくお金がなかったため、1セット4000円の激安キャバクラに週5で出勤し、日払いの日給で糊口をしのいでいました。  安キャバにはGacktの『Vanilla』を壁ドンで歌ってくれるおじさんや、毎朝6時に「大好きだよ」「大好きって言ってくれないの?」と電話してくれるおじさん、宇宙飛行士を目指して英検準2級の勉強をしている生まれた時からずっと無職実家暮らしのおじさん、ママチャリで駅まで迎えに来てくれるおじさんなど、個性的な(?)おじさんたちがいました。毎日退屈しませんでした。  Gacktの『Vanilla』を壁ドンで歌ってくれるおじさんと、毎朝6時に「大好きだよ」「大好きって言ってくれないの?」と電話してくれるおじさんは同じ人なのですが、Gacktじゃない中年に「愛してもいいかい?」と聞かれたら答えはNOだし、朝6時の電話はあるがままを言えばしんどい。  おじさんはすぐに私には飽きて、別の指名嬢に『Vanilla』を歌ったり、「大好きって言ってくれないの?」と迫ったり、ときには泣いたり喚いたりもしながら週2、3回は来店しているようでした。そして、なかなか「大好き」とは言ってもらえていないようでした。

エスカレートする奇行

安キャバクラ

※写真はイメージです

 そんなある日のことです。  Vanillaのおじさんが来店し、お気に入りのA子ちゃんをいつもどおり指名しました。2人は奥のボックス席に座り、おじさんは2時間ほど滞在しました。その日の彼は来店した時点で少し酔っているように見えました。  2本目の鏡月のボトルがあいた頃、おじさんは 「そろそろいいよね?」  と、彼女にたずねました。この「いいよね?」には、そろそろ彼氏になってもいいよね?とか、そろそろお泊りとかそういうことがあってもいいよね?とか諸々が含まれていると思います。  となりのボックス席で待機していた私にはあまりよく聞こえなかったのですが、たぶん「そういうのはもうちょっと仲良くなってからでしょ~」といつものようにあしらわれ、おじさんは泣いたか喚いたかした後に 「ダメダメ!今日は絶対に許さないよ」  と、大きな声で言いました。
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絶対に一緒に帰りたいおじさん VS 絶対に一緒に帰りたくないキャバ嬢
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1989年生まれ。新潟県長岡市出身。関西外国語大学卒業後、大阪市内の広告代理店に勤務する傍ら、キャバ嬢デビュー。結婚、離婚、地方の激安キャバクラを経て、現在は銀座ホステスとライターを兼業。X(旧Twitter):@mizuechan1989

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