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ナイキのエアフォース1が「歩きづらい理由」とは?予約の取れないシューフィッターが教える“痛くならない靴”の選びかた

中敷きを機能性インソールに替えるだけで靴の性能は格段にアップする

履き心地を良くするために一番効果があるのは何ですか?
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機能性インソールの代表格シダスのコンフォート3D。5170円。筆者私物

「もともと入っている中敷きを抜いて、機能性のインソールに替えることです。インソールはクッション性はもとより、カカト周りの安定とシャンクと呼ばれるプレートによる力の連動が必須ですが、例えば、大手スポーツショップなどに置かれている、フランス・シダス社のコンフォート3D(製品はアジア製)を使えば、カカト周りから関節のブレをおさえて、靴のクッションと性能をフルに発揮させることができるようになります」 インソールの効果はどのようなものですか? 「昨今のスニーカーブームの影響で機能性インソールが注目を集めています。インソールとは、その名のとおり靴のなかに入れる中敷きを指しますが、従来のものは靴をきつくするためのサイズ調整に使われてきたのに対して、現在は機能性の向上に用いられています。例えば、マウスピースは口内を守るためのギアとしてボクシングで使われてきましたが、今ではむしろ『正確に歯を食いしばってパワーロスを減らすギア』に変わりました。格闘技だけではなく、ウェイトリフティングやラグビー、バスケットボールなどのスポーツも当たり前のように使われるようになりました。インソールはいわば足のマウスピースです。靴と体の性能をより100%に近く発揮させるために使います」 インソールはどのように選べばいいですか? 「機能性インソールは種類がたくさんありますが、スニーカーにはスポーツを研究しているド定番メーカーが正解です。フランスのシダス、日本のバネインソール、ザムストのフットクラフトシリーズあたりが安定して良品を販売しています。シンプルに説明しましょう。よいインソールとは以下の条件を満たしたものになります。まず、カカトからふまずまでが硬いこと。インソールが足のマウスピースとして役立つには、指で押してへこむようなヤワヤワな素材では意味がありません。次に、軽いこと。かつては『よいインソール=コルク製』というのが常識でした。しかし、コルクは加工がしやすいものの、劣化で加水分解もしますし、圧縮しなければ強度が出ないため、インソールにすると重くなります。さらに手に入りやすいことも重要で、わざわざ専門店に足を運ばなくても、スーパースポーツゼビオなどの大型スポーツ用品店に行くと手に入るということもポイントです」

膝に優しい厚底シューズがはやる理由

最近人気のHOKAなどの厚底シューズの魅力は何でしょう? 「足が上がることと、圧倒的なまでのクッション、そして軽さとファッション性です。実体験ですが、4年前のコロナ禍による自粛期間中、40代の妻が散歩中に前のめりになって転倒しました。段差のないところであったにもかかわらず、足が上がらずに大地に膝蹴りをお見舞いしたのを今でも覚えています。ニューバランスの3万円を超える高機能モデルを履いていたのですが、歩いているだけで転倒するなどとは思いもよらず、まさに運動不足のツケが回ってきた証拠でした。『よし、HOKAを買おう』と、妻とショップへその日のうちに直行し、代表モデル『クリフトン』を履かせました。今でこそHOKAはメガスポーツ用品店だけではなく、ビームスやユナイテッドアローズなどのセレクトショップにも必ず置かれているおしゃれ靴としても有名になりましたが、もともとは100㎞を走るウルトラマラソンや、山を走り回るトレイルランニングでもケガなく完走するために開発されたガチンコのランニングシューズブランドです」 HOKAの特徴は何ですか? 「まずは暴力的とまで言えるクッション。クッションと暴力とは逆の意味合いの言葉ですが、履いた瞬間に誰でもこの意味がわかるはずです。重力が消えるからです。階段を三段くらい上から飛び降りても、衝撃がない。そりゃ膝も痛くなりません。加えてこんな見た目なのに、とにかく軽い。片足が大きめのスマホとほぼ同じ重量。はじめはその見た目とのギャップに『このソールはハリボテか?』と疑っていたのですが、杞憂でした。まったく壊れません。マラソンシューズなので酷使にも耐えます」 厚底シューズは不安定ではないですか?
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左がニューバランス、右がHOKA。ハの字型で、厚底でも安定している。筆者私物

「いえ、逆です。普通のスニーカーよりもはるかに安定します。『こんなに厚底だとグラグラしないのか?』と心配されることもありますが、後ろから見ると、『ハの字』型のソールで、カカト周りの狭さとソールは、あらゆる底の形状のなかでも一番安定しています。膝や腰に痛みを抱えているときに、人混みや電車のなかで誰かにぶつかられても関節に負担こないというのは、たまらない魅力だと思います」
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ゼロドロップシューズという逆転の発想
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イギリスのノーサンプトンで靴を学び、20代で靴の設計、30代からリペアの世界へ。現在「全国どこでもシューフィッター」として活動中。YouTube『足と靴のスペシャリスト』。靴のブログを毎日書いてます『シューフィッター佐藤靖青(旧・こまつ)@毎日靴ブログ』。著書『予約の取れないシューフィッターが教える正しい靴の選びかた
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