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三菱UFJ銀行で“17億円窃盗”の元行員が裁判所で涙…「UFJを悪く思わないで」と語った“闇深い理由”

被告人が陥った「卑劣すぎる自転車操業」の実態

三菱UFJ銀行

三菱UFJ銀行は事件発覚後にプレスリリースを公表した

 一方で、被告人には行員らしさが垣間見れる一面もあったようだ。被告人は、顧客の貸金庫から金品を盗み出した後、エクセルを使って金額などを記載した一覧表を作成していた。被告人の携帯電話には、盗み出した現金などの写真が1,000枚ほど保存されていたという。 「とにかく絶対に返すという思いから、原状回復をするために詳細なメモを最後の最後の一人まで記録していました」  被告人は犯行後、一部の顧客の貸金庫に現金を戻した。しかしその現金は、他の貸金庫から金塊を盗み出し、それを質入れしたことで補てんされたもので、まさに自転車操業の状態だったのだ。

営業時間外を狙った巧妙な手口と隠ぺい工作

 一連の供述から、計画性の乏しい短絡的な犯行にも見える。ただ、被告人の犯行の態様は、立場を利用した悪質と言わざるを得ないものだった。  被告人が貸金庫に入る時間は、決まって営業終了後の午後3時以降だったという。その理由について、被告人は貸金庫へつながる自動ドアの開閉時間が記録されていたためだと説明。営業中のみ記録されていたことから、営業時間外を狙ったとのことだった。  さらに検察側の質問では、貸金庫の開閉された履歴を記録するパソコンの電源を切ったこともあったことが明らかとなった。ときには、金品を盗み出した貸金庫の顧客が支店に来ることもあったが、被告人はこのように伝えていたという。 「(防犯カメラの)モニターを見て、お客様が来店するかを確認したりしました。来店してしまったときには『貸金庫が故障していて』と言ったこともありました」  2024年10月、被告人は約2年間勤務した練馬支店から玉川支店へと異動。異動先の玉川支店でも貸金庫の予備鍵の管理を任されていたことから、同様の犯行に及んだ。また、補てんできなかった練馬支店の貸金庫の予備鍵を持ち出し、ダミーの鍵を保管していた封筒に入れて隠ぺい工作まで及んでいたという。  そして、弁護側から公判請求されている事件以外も含めた被害額について質問され、被告人から記事冒頭の発言がなされた。 「金額は約100名ほどから、17億円から18億円になります」
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「私のためだけにUFJを悪く思わないで」と供述
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傍聴歴7年、傍聴総数1000件超。 都内某私立大の大学院に在籍中の現役大学院生。趣味は御神輿を担ぐこと。高校生の頃から裁判傍聴をはじめ、有名事件から万引き事件など幅広く傍聴している。その他、裁判記録の閲覧や行政文書の開示請求も行なっている。
Xアカウント:@Gakuse_Bocho

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