先輩猟師から譲り受けた名銃を手に100kg超の雄鹿に挑む/東出昌大
これほど人間らしい生き方をしている人はいないのではないだろうか。現在、猟師免許を持ち、北関東の山間部で狩猟生活をしながら役者業をしている現役ハンターの東出昌大が実体験をもとに綴ったSPA!の人気連載エッセイを公開。山での豊かな生活を送る東出昌大が前回に続いて、季節到来したコール猟について述べていく。(以下、東出昌大氏による寄稿)
前回はコール猟の続きを書くつもりが、司馬遼太郎先生の「余談だが」ばりに鉄砲の話に終始してしまいました。今週もちょっと続きますが、最後に鹿撃ちます。お付き合い下さいませ。
初めて取得したベレッタは名銃だったが、私の猟のスタイル、獲りたい獲物、猟場の地形に合わず、何より私が下手くそだったために2丁目のサベージという銃に期待することにした。この銃は、ニュースなんかで耳にしたことがあるかも知れないが「ハーフライフル」と呼ばれる銃で、特殊な弾丸を撃ち出す。故に飛距離が長い。ベレッタの狙える射程が50mなら、これだと100mは狙える。しかし、弾が1発430円する。
「ヒェー! 高い!」と最初は奇声を発するだけにとどまったが、この数年、戦争、円安、アメリカの法改正などが影響し、1発700円になった。もうグゥの音も出ない。そしてよく弾詰まりを起こす。2発目は期待できない。私はこの秋に北海道の山中を10日間徒歩で旅し、ヒグマがいれば撃つつもりなので1発しか撃てない鉄砲じゃお話にならない。そんなことを考えていた折、先輩猟師が名銃を手放すと聞きつけ、定価よりお安く購入させて頂くことができた。それが今抱えているMSS-20。漫画『アイアムアヒーロー』で主人公の英雄くんが、物語終盤に「今、日本で手に入る一番精度の良い銃」として紹介する銃だ。1発250円也。
1988年、埼玉県生まれ。’04年「第19回メンズノンノ専属モデルオーディション」でグランプリを獲得。’12年、映画『桐島、部活やめるってよ』で俳優デビュー。現在は北関東の山間部で狩猟生活をしながら役者業をしている

東出昌大


