スポーツ

【江本孟紀】「名前がない」巨人のユニフォームに物申す。今の巨人に背番号だけで「誰もがわかる選手」がどれだけいるのか

 巨人のユニフォームに名前が載らなくなったのは、2023年シーズンからだ。巨人の球団公式サイトには、「MLBニューヨーク・ヤンキースと同じ、背番号のみのシンプルなデザインにしています。これは、巨人軍の持つ『FOR THE TEAM』の精神にも通じています」と記されている。  だが、なんでもかんでも真似をする必要はない。既存のものでもいいものは、残していくべきだ。もしMLB流を取り入れたとしても、「合わない」と判断すれば、軌道修正して元に戻してもよいのではないか。 ※本記事は、江本孟紀著『長嶋亡きあとの巨人軍』より適宜抜粋したものです。
阿部慎之助

「巨人ファンフェスタ2023」での阿部慎之助監督 ©産経新聞

両球団、それぞれの永久欠番の数は?

 それにヤンキースの場合、永久欠番に値するだけの名選手が数多くいる。ビリー・マーティンの「1番」、デレク・ジーターの「2番」、ベーブ・ルースの「3番」、ルー・ゲーリックの「4番」、ジョー・ディマジオの「5番」など、一桁台の背番号はすべて永久欠番だ。さらに永久欠番はMLBで最も多い21個(「8番」をヨギ・ベラとビル・ディッキーの2人が選出されているため、人数としては22人)にも及ぶ。(※MLB全球団の共通の永久欠番となっているジャッキー・ロビンソンの「42番」を入れると、永久欠番の人数は23人となる)  一方、巨人はどうだろうか。王貞治さんの「1番」を筆頭に、長嶋さんの「3番」、黒沢俊夫さんの「4番」、沢村栄治さんの「14番」、川上哲治さんの「16番」、金田正一さんの「34番」と6人だ。これはNPBではトップの人数であるが、ヤンキースと比べると遠く及ばないうえ、長嶋さんと同じ日に国民栄誉賞に選ばれた松井秀喜の「55番」でさえ永久欠番になっていない。

ヤンキースの真似をしてみたものの……

 ヤンキースは今昔問わず、「ヤンキースのために貢献してくれた名選手」を永久欠番にしているが、そうではないのが巨人だ。 「永久欠番にふさわしい金字塔を打ち立てていないから」といわれてしまえば、それまでの話ではある。だが、巨人とヤンキースで功績を遺した松井や、巨人一筋で2000安打以上を記録した阿部慎之助の「10番」、同じく生え抜きで200勝以上を挙げた堀内恒夫の「18番」は、検討に値するのではないか。  このような議論が巨人の球団内部から出てこないこと自体、私にとっては違和感があるのだ。背番号に対してもっと敬意を払ってほしいという思いも強い。形だけヤンキースの真似をしてもあまり意味がない。
次のページ
なんでもかんでも「MLB流がいい」わけではない
1
2
3
1947年高知県生まれ。高知商業高校、法政大学、熊谷組(社会人野球)を経て、71年東映フライヤーズ(現・北海道日本ハムファイターズ)入団。その年、南海ホークス(現・福岡ソフトバンクホークス)移籍、76年阪神タイガースに移籍し、81年現役引退。プロ通算成績は113勝126敗19セーブ。防御率3.52、開幕投手6回、オールスター選出5回、ボーク日本記録。92年参議院議員初当選。2001年1月参議院初代内閣委員長就任。2期12年務め、04年参議院議員離職。現在はサンケイスポーツ、フジテレビ、ニッポン放送を中心にプロ野球解説者として活動。2017年秋の叙勲で旭日中綬章受章。アメリカ独立リーグ初の日本人チーム・サムライベアーズ副コミッショナー・総監督、クラブチーム・京都ファイアーバーズを立ち上げ総監督、タイ王国ナショナルベースボールチーム総監督として北京五輪アジア予選出場など球界の底辺拡大・発展に努めてきた。ベストセラーとなった『プロ野球を10倍楽しく見る方法』(ベストセラーズ)、『阪神タイガースぶっちゃけ話』(清談社Publico)をはじめ著書は80冊を超える。
記事一覧へ
長嶋亡き後の巨人軍 長嶋亡き後の巨人軍

球界の盟主が取るべき改革とは?

【関連キーワードから記事を探す】