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「老後が孤独になる人」の共通点。“気の合わない人”を避け続けることのリスクとは

いざというとき心強い「生涯の友」を持つ価値

理想的なのは、広く浅いつきあいの知り合いがそれなりにいる一方で、心から信頼できて、いざというときに親身になってくれる友だちが数人はいる、という状況だろう。 文芸評論家の加藤典洋は私が早稲田大学にいた頃の同僚で、研究室がたまたま隣だったことで親しくなったのだが、彼が白血病だと診断されてから、以前にも増して深いつきあいをするようになった。 いろんな文献を調べながら治療法を一緒に考えたりもした。また、病気になってから書き始めたという詩を加藤さんはメールでたびたび送ってくれた。 なんとか生き延びてほしいと心から祈ったが、結局どの治療法もうまくいかず、告知を受けてから半年ももたなかった。「寛解して自宅に戻ったら、俺の持っている一番上等な酒を持って遊びにいくよ」と言いながら、握手をして別れたのが最後になってしまった。 体が弱ってきたり病気になったりすると、人はどうしても弱気になってしまう。 僕にはまだそこまでの経験はないけれど、そんなとき自分のことを心底思ってくれる友人がいれば、やはり心強いだろうとは想像できる。 いざそうなったときに親身になって相談にのってくれる生涯の友が思い浮かべられれば、それに越したことはない。

居心地の良い関係を作る人間力

よくないのは、友人関係にまで上下関係を持ち込もうとすることだ。どんな状況にあっても、自分が優位に立ちたいという人がいるけれど、そういう人には本当の友人はできないのではないかと思う。 養老孟司とはもう40年近いつきあいなのだが、僕より10歳も年上で、心から敬愛しているけれど、基本的には友人で、年上という以外の上下関係はないのが気持ちいい。 養老さんに感心するのは、誰に対しても丁寧で、しかも距離感が絶妙なところだ。 世の中的にはものすごく偉い人なのに、偉そうにすることのない養老さんの周りには、いつもたくさんの人が集まってくる。それは養老さんと一緒にいると、誰もがリラックスして居心地よく感じるからだと思う。 まあ、ひと言でいえば、人徳があるということだね。 <文/池田清彦>
1947年、東京都生まれ。生物学者。東京教育大学理学部生物学科卒、東京都立大学大学院理学研究科博士課程生物学専攻単位取得満期退学、理学博士。山梨大学教育人間科学部教授、早稲田大学国際教養学部教授を経て、現在、早稲田大学名誉教授、山梨大学名誉教授。高尾599ミュージアムの名誉館長。生物学分野のほか、科学哲学、環境問題、生き方論など、幅広い分野に関する著書がある。 フジテレビ系『ホンマでっか!?TV』などテレビ、新聞、雑誌などでも活躍中。著書に『騙されない老後』『平等バカ』『専門家の大罪』『驚きの「リアル進化論」』『老いと死の流儀』(すべて扶桑社新書)、『SDGsの大嘘』『バカの災厄』(ともに宝島社新書)、『病院に行かない生き方』(PHP新書)、『年寄りは本気だ:はみ出し日本論』(共著、新潮選書)など多数。また、『まぐまぐ』でメルマガ『池田清彦のやせ我慢日記』を月2回、第2・第4金曜日に配信中。
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