更新日:2025年12月21日 18:29
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人間の「本来の」寿命は38歳!? 生物学の視点から見た「寿命の正体」とは

細胞分裂の回数にも実は限界がある

短くなるテロメア 種の寿命を決めるもう一つの根拠は「ヘイフリック限界」です。 「DNAは細胞核と呼ばれる重要な部分に収まっている」という説明をしましたが、もう少し細かく言うと、ヒストンというタンパク質に巻きつき、さらに折りたたまれてパッケージ化された状態で収まっています。  そのパッケージ化された構造が染色体です。  染色体の末端にはテロメアという構造があり、これは端を守る“キャップ”のような役割をしています。テロメアには生命維持に直接関わる重要な遺伝子は載っていないため、多少切れても致命的な問題は起きません。  ところが、細胞分裂を重ねるごとにテロメアは少しずつ短くなり、ヒトではおよそ50回ほど分裂するとテロメアがほぼなくなってしまいます。  これが、ヘイフリック限界と呼ばれる現象です。

短くなっても伸び続ける、がん細胞のテロメア

 時にはテロメアを伸ばす働きを持つ酵素「テロメラーゼ」が活性化して、短くなったテロメアが再び伸びることもありますが、全体としてテロメアは加齢とともに短くなっていきます。  実はがん細胞は例外で、ここではテロメラーゼが常に活性化されているため、テロメアが短くなってもすぐに伸長され、いつまでも分裂を止めることなく増え続けます。  だから、がん細胞自体に寿命はなく、不死なのです。  植物の場合もテロメラーゼが働くのでテロメアの長さが保たれます。だから一般的に植物は寿命が長く、アメリカヤマナラシという広葉樹の一種などは1万年以上生き続けることができます。  けれども動物の通常の細胞では、テロメアが限界まで短くなると細胞は正常に働けなくなります。細胞分裂も止まり、新しい細胞をつくって古い細胞と入れ替えることもできないので、そのまま機能を失っていきます。  その結果、組織や臓器全体の働きが少しずつ低下していき、やがて命も果てるというわけですね。  ヘイフリック限界に達するまでの時間は組織によって異なり、組織ごとに細胞の寿命は異なりますが、大半の細胞がヘイフリック限界に達すれば個体は老化し、死に至ります。
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うまくいけば迎えられそうな「最終到達地点」は何歳か?
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1947年、東京都生まれ。生物学者。東京教育大学理学部生物学科卒、東京都立大学大学院理学研究科博士課程生物学専攻単位取得満期退学、理学博士。山梨大学教育人間科学部教授、早稲田大学国際教養学部教授を経て、現在、早稲田大学名誉教授、山梨大学名誉教授。高尾599ミュージアムの名誉館長。生物学分野のほか、科学哲学、環境問題、生き方論など、幅広い分野に関する著書がある。 フジテレビ系『ホンマでっか!?TV』などテレビ、新聞、雑誌などでも活躍中。著書に『騙されない老後』『平等バカ』『専門家の大罪』『驚きの「リアル進化論」』『老いと死の流儀』(すべて扶桑社新書)、『SDGsの大嘘』『バカの災厄』(ともに宝島社新書)、『病院に行かない生き方』(PHP新書)、『年寄りは本気だ:はみ出し日本論』(共著、新潮選書)など多数。また、『まぐまぐ』でメルマガ『池田清彦のやせ我慢日記』を月2回、第2・第4金曜日に配信中。

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