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日本の原油価格を直撃?ラテンアメリカに対する日本の姿勢が問われるベネズエラ危機

軍事面の関係強化が目立つロシア

 ロシアとは軍事面での関係強化が目立つ。アメリカの専門家の分析では、ベネズエラがロシアから購入した武器の総額は、この20年間で日本円にして2兆円に迫る規模だという。  ‘08年以降、ロシアは超音速爆撃機「Tu-160」を度々、ベネズエラに飛ばしている。18年に「Tu-160」がベネズエラに立ち寄った数日後、カラカスの北東約170キロのカリブ海上にあるラ・オルチラ島にロシア軍が基地建設を検討していると報じられている。ウクライナ侵攻以降もロシアは、アメリカをけん制するため、ことあるごとにベネズエラへの軍事基地建設をにおわせている。  ベネズエラ政府はアメリカと対立する国々と仲良くする一方で、政治的弾圧を繰り返し、国民生活は困窮している。チャベスに取り入ってバス運転手から大統領になったマドゥロは独裁的手法を一段と強めており、14年以降、800万人近くのベネズエラ人が難民として海外に逃れた。国内では経済の混乱で、80%以上の国民が貧困レベルでの生活を強いられている。

日本のラテンアメリカ外交の現状

 一時は多くの日本企業がベネズエラにオフィスを構えたが、現在、主力企業で駐在員が常駐しているのはトヨタや三菱商事など限られた会社だけだ。トランプ政権がベネズエラ攻撃に踏み切れば、欧州の次に中東に拡大した戦火の波は、西半球に飛び火することとなる。現在、ベネズエラの石油の流通量は限られているとはいうものの、ベネズエラはOPECの主要メンバー国だ。戦闘となれば石油をめぐる世界情勢が一段と緊迫化することとなり、日本国内の原油価格にも大きな影響を与える。  ベネズエラ問題は、ラテンアメリカに対する日本のこれまでの姿勢が問われる問題でもある。ブラジルやペルー、そして規模の差はあれベネズエラにも日本人の集団移住がありながら、日本のラテンアメリカ外交は「お寒い」現状が続く。国際会議での訪問を除けば首相のラテンアメリカ歴訪は14年以降、実現していない。世界経済を大きく左右する地下資源があるにもかかわらず日本のビジネス界の関心は薄い。世論が見向きもしないのは日本のメディアが「遠い国々」と決め付けて、正面から向き合わなかったからだ。 「これで中国やロシアに勝てるはずがない」――ラテンアメリカ取材をするたびに感じることだ。ベネズエラ情勢を掘り下げれば掘り下げるほど、その思いが強くなる。
ニューヨークを拠点に活動するフリージャーナリスト。業界紙、地方紙、全国紙、テレビ、雑誌を渡り歩いたたたき上げ。専門は経済だが、事件・事故、政治、行政、スポーツ、文化芸能など守備範囲は幅広い。
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