お金

貯蓄と相続で“資産2000万円”の男性。「老後資金には少し足りない気がする」焦りが招いた最悪の末路

お金よりも大切なものを失った日

中年男性

※写真はイメージです

相場というのは、都合よくは続きません。 ある日を境に、評価額は目に見えて減り始めました。最初は「一時的な調整だと思うんです」と、本人もまだ強気でした。 けれど下落は止まらず、気づけば含み益は消え、含み損へと変わっていきました。 問題は、その後でした。「ここで戻れば、全部取り返せますよね」 彼はさらに資金を入れました。 もう2000万円の枠は、とっくに超えていました。 定期預金を崩し、保険を解約し、それでも足りず、ついには借入にまで手を出してしまったのです。勝つためではなく、負けを認めないための資金でした。 しかし、相場は容赦しません。 最終的に残ったのは、わずかな現金と、返済だけが残る借金でした。 奥様にすべてを打ち明けた夜、家の中は凍りついたように静まり返ったそうです。 「怒鳴られるより、何も言われない方がきつかったです」 そう呟いた横顔を、私は今も忘れられません。 2000万円を失ったのではありません。 彼が本当に失ったのは、家族からの信頼と、安心して眠れる日常だったのだと思います。

感情で投資をすると失敗する

2000万円は、安心できる金額のようでいて、欲が動き出した瞬間に一気に危うくなります。 失敗の原因は、知識不足よりも感情でした。 増やしたい、取り返したい、その気持ちが判断を曇らせます。お金を守る最大の武器は、実は相場ではなく、自分の心なのだと思います。 <文/渡辺智>
某メガバンクに11年勤務。リテール営業やプライベートバンカー業務を経験。その後、外資系保険会社で営業。現在は金融ライターとして独立。FP1級保有。難しい「お金の話」をわかりやすく説明することをモットーにしています。公式SNS(X)は、@watanabesatosi7
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