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マッキンゼーの人員削減に「自業自得」の声。アメリカで”コンサル人気が冷え込む”意外な理由

​■コンサルは「最強の修行の場」なのか?

マッキンゼーやアクセンチュアなど大手コンサルファームでは人員削減が相次いでいる(画像/adobe stock)

なぜこれほどまでに差が出るのか。そこには日米の「若手の裁量権」の違いがあるのではないでしょうか。 ​日本では、伝統的大企業に入っても意思決定に関わるまでには時間がかかります。そのため、若いうちから経営層と対峙できるコンサルは、「最強の修行の場」として非常に人気があります。 ​しかし米国では、若くてもテック企業やスタートアップで巨大なプロジェクトを動かし、直接インパクトを残せる環境があります。ぼくがアメリカで一緒に働く仲間は20代と若いですが世界中で使われるプロダクトを作るのに奔走しています。わざわざ「修行」のためにコンサルを選ぶ必要性が、日本ほど強くないのです。 ​特にシアトルは「ビルダー(作る人)」の街です。MicrosoftやAmazonのように、自分たちでインフラを構築し、動かす文化が根付いています。こうした環境では、「コンサルに行くのは、まだやりたいことが決まっていない人だ」という見方をされることさえあります。 ​さらに、近年の「入社延期(Delayed start dates)」問題も影響しています。マッキンゼーを含む大手が入社時期を1年近く遅らせる措置を連発したことで、「実力がつくテック企業へ行こう」という「コンサル離れ」が加速しているように思います。

​■生き残るのは「正しい戦略」を「実装」できる人

​では、コンサルという職業はこのまま消えていくのでしょうか。私はそうは思いません。ただし、求められる能力は劇的に変わるはずです。 ​今、企業が本当に求めているのは「正しい戦略を語る人」以上に、「その戦略を、実際にシステムとして動かしてくれる人」です。 ​その象徴が、データ分析・AIプラットフォームのパランティア(Palantir)です。彼らは報告書を置いて帰るのではなく、クライアントの現場に入り込み、エンジニアと連携してAIを業務に「実装」し、成果が出るまでコミットします。 ​AIによって資料作成などの知的作業が効率化された今、価値を持つのは抽象論ではありません。現実のプロセスを書き換え、形にできる力です。
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■日本企業が抱える「自浄作用」という課題
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シアトル在住。外資系IT米国本社のシニアPM。ワシントン大学MBAメンター(キャリア・アドバイザー)。大学卒業後にベンチャー企業を経て2016年に外資系IT企業の日本支社に入社。2022年にアメリカ本社に転籍し現職。noteでは仕事術やキャリア論など記事を多数発表。X:@fukutamanegi

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