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アサヒは「1兆円超」、キリンは「撤退」…サッポロが直面した“選択”。恵比寿ガーデンプレイスなど、不動産売却は吉と出るか、それとも…

不動産事業で「事業利益全体の3割」を稼いでいた

 サッポロの不動産事業の売却額は4770億円。3300億円の計上益を見込んでいます。不動産事業の切り離しによって得たキャッシュは、会社の長期目標であるROE10%以上の達成、2030年のROE8%以上を達成するための投資に使われる予定。2024年12月期のROEは4%程度であり、高い目標が掲げられています。  ROEは純利益を株主資本で除して算出するもので、自社株買いで数字を高めることもできますが、巨額の事業売却を行ったサッポロの場合、手元資金を有効に活用し、純利益を高める必要があります。  サッポロは2025年1-9月において連結で201億円の事業利益を出しています。そのうち、3割に相当する61億円は不動産事業が生み出したもの。酒類事業は162億円もの事業利益を創出しているものの、成長事業に位置づけている海外酒類は1億円の赤字。国内は大幅な増益ですが、これはビール類の価格改定効果によるもの。日本のビール市場は緩やかな縮小が続いており、中長期的な収益基盤としては当てにできません。

積極的に大型買収を進めるアサヒ

 サッポロは海外ビール事業強化などを目的として、3000~4000億円程度の成長投資を計画しています。  しかし、海外のビール会社の買収は巨大化しており、成功へと導くのは簡単ではありません。  競合のアサヒグループホールディングスは2025年12月にイギリスの蒸留酒大手ディアジオから東アフリカ事業を買収すると発表しました。この買収には4654億円もの巨額資金が投じられます。  アサヒは2016年以降、1兆円を超える海外企業を対象とした大型買収を次々と決めてきたのです。
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キリンの事例が示す「一寸先は闇」
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フリーライター。大企業から中小企業まで幅広く経営支援を行った経験を活かし、経済や金融に関連する記事を執筆中。得意領域は外食、ホテル、映画・ゲームなどエンターテインメント業界
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