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アメリカ対外政策の第ゼロ・中南米。ベネズエラ情勢と高市政権が直面する国内課題/倉山満

アメリカの対外政策「第ゼロ」

 ところが、アメリカの対外政策には、「第ゼロ」がある。中南米だ。そもそもアメリカ人が、西半球を外国だと思っているかどうかすら疑わしい。この地域で最重要は、現時点でベネズエラである。「麻薬と犯罪者を輸出している」と、一部では既に海戦(にもならない一方的な攻撃)を行っている。  〆切の関係で十二月末に書いているが、アメリカは既に空母を中南米に集結させ、中東はカラだ。そして地上軍を動員し始めている。一般論として、地上軍を動員し始めた時、「絶対に戦いは無い」とは言い切れない。もはやベネズエラが戦わずして降伏する以外に、戦いを避ける方法はない形勢となっている。  むしろアメリカは「ベネズエラの次の標的としてコロンビアに狙いをつけている」と指摘する専門家もいる。戦いが始まる前に終わらせる方法、さらに次の戦いを考えることができるのが、超大国の強みだ。  ’26年は11月に中間選挙がある。トランプとしては、麻薬問題を片付けて、選挙の勝利を盤石にしたいところだろう。

日本は遠慮なく「大国」になればいい

 ’26年もトランプを中心に世界が回り、中露が対抗している。日本はアメリカの同盟国として生きていくしかないのだから、同盟の義務を果たすだけだ。しかも今までの同盟は「従属」でしかなかったが(しかも、その役割すら十分に果たさなかった)、今は違う。アメリカの方から「日本はインド太平洋地域の大国にならないか」と言ってきてくれた。遠慮なく、なればいい。  高市早苗首相、「大国に戻る」などとストレートに言う必要はなく、「インド太平洋地域の平和に責任を持つ」くらいの表現で、全世界に発信すれば良い。その為に何をしなければならないかが見えてくる。  まずは経済。経済大国なのに景気が回復していない。やっとデフレではない状況になったが、本物の景気回復ではない。エネルギーと食料のコストがかかっているだけで、消費は伸びていない。人々は税と社会保障で苦しんでいる。だったら、消費減税で人々の苦しみを取り除けば、消費は伸びる理屈だ。
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増税で国民を痛めつけて防衛力整備に回そうとして、無理が来る
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皇室史家。憲政史研究家。1973年、香川県生まれ。救国シンクタンク理事長兼所長。中央大学文学部史学科を卒業後、同大学院博士前期課程修了。在学中から’15年まで、国士舘大学日本政教研究所非常勤職員を務める。現在は、「倉山塾」塾長、ネット放送局「チャンネルくらら」などを主宰。著書に『13歳からの「くにまもり」』など多数。ベストセラー「嘘だらけシリーズ」の最新作『噓だらけの日本近世史』が2月28日より発売

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通説を覆す「嘘だらけ」シリーズ日本史編、待望の第三弾。


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