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かつてのR-1王者が“温泉オーナー”に…「縁もゆかりもない」青森県で、「経営難の温泉施設」を再生するまで

実は稀有な名湯。自らの手で修繕も

ハッピィー百沢温泉

ロビーホール。OGAさんらによるトークライブやバランスボールレッスンなどのイベントもよく行われる ©ハッピィー百沢温泉

 昨年8月には宿泊棟もオープン。さらに、「現在、長期間滞在できる湯治場の修繕を進めています。今年の3月か4月にプレ・オープンするのが目標ですが、修繕といっても――仕上げはプロの方にお任せするとして――基本的に作業は僕がやっているので、まあ僕しだいですけど(笑)」(OGAさん)という。  あべさんが続ける。 「6畳部屋を8部屋ほど設けたいですね。あと、家族風呂を作ったり、カフェの営業もやっていきたい。さらには、百沢の温泉水を使った化粧水や石鹼を売り出して、『ハッピィー百沢温泉』の認知度を全国的に広げていきたいと思っています。百沢温泉は、青森県を代表する岩木山のパワーを存分に味わえるところ。いろんなハッピィーを全国に発信していきたいんです」  実際、百沢温泉は県内の数ある温泉のなかでも稀有な存在のひとつのようだ。青森県の温泉に詳しい温泉ソムリエの鎌田祥史氏は、次のように語る。 「津軽地方は塩分の多い温泉が多いのですが、百沢温泉はそれに加えてマグネシウムやカルシウムなどミネラルの多い濁り湯なのが特徴です。地域の中でも古くに温泉を掘削した施設で、昔から日帰り温泉として住民に親しまれていました。あべさんが再開させてことを喜んでいる人はとても多い」

課題は山積みだが…情熱が引き寄せた支援の輪

 ただし、いくら人気者のあべさんといえども、そうそうたやすく温泉施設を運営できるわけではなかった。資金面、人手の問題など課題は山積みだったが、とりあえずできることからやろうと取り組んでいくうちに、あべさんの志に共感した人々が集まってきた。再開にこぎつけるためのリフォームは、ほぼ有志によるボランティアと採算を度外視した業者たちの協力で成り立っていた。 「どうしても僕があまり手伝えないので、OGAさんたちに任せっきりになってしまって、いろいろと遅れ気味になってしまいますが、いろんな方々のご協力を得てここまで来ました。温泉をまわしてくれているOGAさんたちスタッフ、地域のみなさん、そしてお客様に本当に感謝しかありません」(あべさん)
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なぜ縁もゆかりもなかった青森で?
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1964年、東京都生まれ。フリーランスのライター&エディターとして総合月刊誌、経済誌、ボクシング雑誌、歴史雑誌などの分野で活動。さらに出版社勤務を経て、2022年に青森県弘前市の相馬地区(旧相馬村)に移住し、3年間、当地の地域おこし協力隊として勤務する。退任後も弘前市に居住し、取材・執筆活動を続けている。
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