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「まだデビューできていないから、1ミリも満足していない」バラエティに引っ張りだこの猪狩蒼弥が語った本音。驚異的な“後輩力”の正体とは

主演・木村拓哉の姿勢から学んだこと

――セリフ変更は(※3)中江功監督に相談しながら、作っていったのでしょうか? 猪狩:いえ、実は監督に聞くのは野暮だなと思ったので、ほぼ自分で考えましたね。というのも、木村(拓哉)さんがご自身で考えて組み立てるような作り込み方をされるので、番手が下で事務所の後輩でもある自分が監督に頼ってしまうのは違うんじゃないか……と。でも監督とは2回くらいごはんには行き、演出した後輩たちの舞台『大脱出~Escape Run~』のことや、ウチの会社の話などをしました。 ――木村さん自身が組み立てるというのは、具体的には? 猪狩:リハーサルでまず木村さんが動いて、それを見て監督が絵を決める。主演は一挙手一投足に責任を持って作品を自分色に染めていくことが大事なんだな、とすごく勉強になりました。

木村(拓哉)さんは、時代をつくった神様です

――猪狩さんの世代にとって、木村さんはどんな存在ですか? 猪狩:本当に神様ですよ。時代をつくった人ですし、事務所に居続けてくださっているという意味でも土着信仰的な神様だと思っています。立派な存在すぎて最初はどう接したらいいのかわからなかったんですけど、ある日、僕がデカいアクセサリーをして撮影現場に行ったら「あんまりカッコよくないな」って話しかけてくださって。それ以来、そのアクセサリーは二度とつけていません(笑)。 ――猪狩さんは(※4)中丸雄一さんをはじめ、事務所の多くの先輩からも愛されているイメージです。 猪狩:これは前時代的な考えかもしれませんが、僕は“先輩”っていうだけで偉いと思っています。小さい頃から縦が大事と学んでいたので、そういう感覚がある。その大前提をベースにしながら、すべてに服従するのではなく、納得できないことには抗議するのが信条です。でも、僕が話したいなと思う先輩は、ゲームでもヒップホップでもなんでもいいんですけど、自分と熱量が同じかつ、先方も「猪狩いいね」と好意的に思っていただける“両思い”の方だけです。誰にでもっていうわけではなく、相性が関係していると思います。 ――あくまでも、リスペクトしている先輩から学びたいという姿勢なんですね。 猪狩:先輩が50歳だとしたら、50年分の知見をぎゅっとまとめて数時間で話してくださる、教科書みたいな存在だと思っています。同じ理由で哲学書を読むことが好きなんですけど、例えばニーチェを読んだときに、「自分が何年もモヤモヤ考えていたことを、この本でズバッと言語化されている!」と思うことがあるんです。そういうときに、もっと早く読んでおけば考えなくて済んだのに、と後悔するタイプなんです。だから、計算高いと言われればそうかもしれないですけど、先輩に教えてほしいという気持ちは本物なんですよね。 エッジな人々――先輩とコミュニケーションを取るうえで、意識していることはありますか? 猪狩:最低限の礼儀として、「楽しんでいただきたい」と思っています。先輩に気持ちよくなってもらうために心がけているのは、嘘をつかないこと。似合っていないものを「似合っています!」とお世辞で言うのはよくないし、だからといって「似合っていないです」と言う必要もない。本当に自分がいいと思うところを探して、それを伝える。一度嘘をつくと矛盾が生まれて信用を失うし、結局一番大事なのは真心。縦社会は意識しつつも、時間は有限だから、後悔のないように自分から動いています。 ――(※5)『ぽかぽか』に出演した際、伊集院光さんにサングラスをプレゼントしたことも話題になりました。伊集院さんのラジオを聴いているそうですが、どんなところに惹かれていますか? 猪狩:物事を真っすぐな目で見ない、パンクなところです。自分自身もベースにレジスタンス的な部分があるので、大雑把に善とされているものに対して水を差したり、大衆に異議を唱えたりするスタイルがすごく好きなんですよね。いきなりプレゼントを渡したのは、「やってもやらなくてもいいことは、やったほうがいい」というモットーがあるから。
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芸能の仕事は、加点方式の世界
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